キリスト者なら誰もが関心を持つイスラエル。一度は訪れたいと願う地だが、この地域の歴史と現状が複雑であることもまた、誰もが認めるところだろう。数十年にわたり和解のための折衝を行ってきたにもかかわらず、いまだミサイルとロケット砲の応酬が続くバイブルランド。アメリカで生まれ育ったユダヤ人の著者が、この「人類史上最もやっかいな問題」を解きほぐし、平和への糸口を模索する。 第一部「何が起こっているのか?」では、まずイスラエルの歴史を概説。紀元前から現代までの経緯をふり返る。 紀元前63年、イスラエルはローマ帝国の属国(最終的には属州)となった。イエスがエルサレムで十字架にかけられたのはこの時代である。紀元70年、ローマに対する反乱が失敗し、敗れ去ったユダヤ人はエルサレムヘの立ち入りを禁じられ、多くの者が追放された。その後19世紀後半まで、イスラエルの地には小規模なユダヤ人コミュニティが存在するだけだ