【福島県沖地震】 よぎる10年前の記憶 最大震度6強から一夜明けた現地 最大震度6強の地震から一夜明けた14日、大きな揺れに見舞われた福島県内各地の農家らは「10年前の地震が頭をよぎった」と2011年3月の東日本大震災の記憶がよみがえり、動揺が広がった。余震を含め今後の地震への懸念を抱えながら、倒れた家具や散乱した農作業用具の片付けに追われた。 最大震度6強を観測した福島県相馬市で、2㌶前後の観光イチゴ園を運営する和田観光苺組合の齋川一朗組合長(72)は「瞬間的な揺れだけで言えば、10年前より激しく感じた」と話す。14日に組合員らとハウスを見回ると地震の揺れによって、一部の高設栽培のベッドが支柱からはずれているのを見付けた。10㍍以上にわたりベッドが宙づり状態になっていた。齋川さんは「これから天候も悪くなるみたいなので、また大きな揺れが来ないか心配」と気をもむ。 震度6弱を観測した福島県南
初の農作業安全推進週間 業界一体で対策検討 農水省は16日から、初めてとなる農作業安全の推進週間をスタートさせた。26日までの期間中、農作業事故を削減するイベントや会議を集中開催し、作業安全対策の重要さを業界全体に再確認してもらう。…… 19年農作業死亡事故 機械作業が3分の2 前年比6ポイント上昇 「転落・転倒」が57人 農水省が16日に公表した2019年の農作業死亡事故では、農業機械作業に関係する死者は184人で、事故の比率が65・5%と前年より6ポイント上がった。乗用型トラクターによる事故が最も多く、特に「転落・転倒」で57人が亡くなっている。機械や施設関連以外では前年に多かった熱中症がこの年も多く、作業中の暑熱対策も近年の課題になっている。…… 結球野菜が大幅安 平年の半値 業務苦戦響く 結球野菜が、平年よりも大幅に安い相場で推移している。ハクサイは豊作で出回りが多く、相場低迷が長
農泊地域の支援拡充 ワーケーションに対応 農水省 農水省は2021年度から、農泊に取り組む地域への支援を拡充する。新型コロナウイルス禍による需要の変化を受け、旅先で休暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の受け入れ環境の整備や、地域の食や景観を活用した集客を後押しする。インバウンド(訪日外国人)が減る中、地域がより多様な需要に対応できるようにして集客力を高める。 同省によると、農泊に取り組む地域の19年度の宿泊者数は延べ約589万人で、17年度比で2割増えた。コロナ禍を受けて民間事業者が都市住民に行った調査では、6割が3密を避けて農山漁村への旅行を希望。旅行目的としてワーケーション(テレワークなど含む)を挙げる回答も3割に上っている。 こうした情勢に対応し同省は21年度予算案に98億円を計上した農山漁村振興交付金の内数で、「農泊地域高度化促進事業」を用意した。ワーケーションの環境整備
自立支援に農業“有効” 生活困窮者 自然触れて汗流し 8割「好影響」 会話力改善も 共済総研調査 生活困窮者の自立支援で、農作業を体験してもらうと、心身の状況やコミュニケーション力が改善したとの調査結果を、JA共済総合研究所がまとめた。厚生労働省の就労準備支援事業を受託する社会福祉法人やNPO法人などに、支援を受けた人の変化を質問。精神の状況が良くなったとの回答が8割に上るなど、農業の効果が高いことを裏付ける結果となった。 事業は引きこもりや障害などを抱える生活困窮者の就労に向けて、自治体や社会福祉法人などが就労体験の場を提供し、基礎的な能力の習得を支援している。調査は、この事業を受託する201件に行い、このうち活動に農業を取り入れた77件に支援を受けた人の変化を質問。中間集計として取りまとめた。 農作業をして良くなったとの回答が最も多かったのは、精神の状況で77%を占めた。この他、体の状
米の主産県 転作独自支援広がる 2021年産米の需給安定に向け、主産県で独自の転作支援策を講じる動きが広がっている。主食用米の作付面積が多い上位10道県のうち7県が、都道府県と同額を上乗せ助成する農水省の新たな支援策を活用し、独自支援に取り組む方針だ。飼料用米などに転作を拡大した分の助成を手厚くし、農家の転作意欲を高める。 国の上乗せ活用“深掘り”後押し 同省は、転作助成金に当たる水田活用の直接支払交付金に、21年産から「都道府県連携型助成」を新設する。…… 都市農業の今 映像化 一橋大・農林中金寄付講義 現地へ行けない学生向けに 東京の都市農業の魅力を映像化しインターネット上で公開するプロジェクトに、農業関連ウェブメディアの運営会社「ぽてともっと」(東京都国立市)が取り組んでいる。新型コロナウイルス禍でフィールドワークができない大学生に、都市農業の現状を伝えるのが目的だ。新規就農者やベテ
[迫るリミット](1) 荷主が選ばれる時代 物流の環境改善急げ 新型コロナウイルス下で、生活や農産物流通に欠かせないインフラとして、物流業界の存在感が高まっている。一方で「働く時間が2割長く、給料は2割安い」といわれる業界には、働き方改革の波が押し寄せる。荷物を運べなくなる事態を防ぐため、農業界も共に環境改善を加速できるか。タイムリミットが迫っている。 使命感が支え 昨年8月、東北地方で野菜や米などの農産物を取り扱う運送会社の担当者(40代)は、契約する下請け会社から連絡を受けた。「物流センターでコロナ感染者が出た」という報告だった。…… [活写] カスミソウ 収束願って、幸せ誓って 婚礼で使われるはずだった高品質の花を活用しよう──。東京駅のイベントスペース「スクエアゼロ」に2月26、27の両日、熊本産などの宿根カスミソウ3000本を使った展示が登場した。バージンロードを意識した配置で、
[迫るリミット](1) 荷主が選ばれる時代 物流の環境改善急げ 新型コロナウイルス下で、生活や農産物流通に欠かせないインフラとして、物流業界の存在感が高まっている。一方で「働く時間が2割長く、給料は2割安い」といわれる業界には、働き方改革の波が押し寄せる。荷物を運べなくなる事態を防ぐため、農業界も共に環境改善を加速できるか。タイムリミットが迫っている。 使命感が支え 昨年8月、東北地方で野菜や米などの農産物を取り扱う運送会社の担当者(40代)は、契約する下請け会社から連絡を受けた。「物流センターでコロナ感染者が出た」という報告だった。…… [活写] カスミソウ 収束願って、幸せ誓って 婚礼で使われるはずだった高品質の花を活用しよう──。東京駅のイベントスペース「スクエアゼロ」に2月26、27の両日、熊本産などの宿根カスミソウ3000本を使った展示が登場した。バージンロードを意識した配置で、
1月農産物輸出40%増 家庭向け好調 過去10年で最高 2021年の農林水産物・食品の輸出は好調な滑り出しとなった。農水省がまとめた1月の輸出額は前年同月より40%増の758億円で、1月としては過去10年で最高だった。新型コロナウイルス下、牛肉やリンゴ、緑茶などの引き合いが家庭向けで強まった。飲食店の規制が続く地域もあり、輸出拡大には家庭用需要の開拓が重要になっている。 前年からの伸びが特に大きいのは、リンゴで185%増の40億円。最大の輸出先の台湾では、春節向けの需要がピークを迎えた。コロナ下で家庭用需要が高まったことや、昨年は春節が早く1月には輸出のピークを過ぎていたことで増加幅が大きくなった。青森県は、「台湾や香港で小売りの伸びが大きい。リンゴは日持ちも良く、巣ごもり需要で選ばれた」(国際経済課)と指摘する。 牛肉、豚肉、鶏卵など畜産物も軒並み、家庭での需要の高まりを受けて好調だった
全国13生花卸連携 共同仕入れ視野に 協議会始動 大田花きやなにわ花いちばなど、花き卸13社が市場機能の強化を目的に立ち上げた協議会が3日から本格始動した。物流の効率化に加え、市場が地域の花き産業を活性化する役割を担えるよう、花き卸の再編を視野に改革に乗り出す。共同仕入れ体制の確立や地方卸の集荷機能の強化などを図り、産地に信頼される市場の確立を目指す。 名称は「勉強会―共同仕入機構―日本地域文化振興協議会」。…… [米のミライ](6)加工用米 産地と地元実需 協力 活用の裾野広げる 新潟、熊本県 「パンやカップ麺のように、手軽に食べてもらえる商品にしたい」。JA熊本経済連は、県産の加工用米を使った冷凍米飯を売り込む。ご飯を炊く手間から国内の精米消費量が落ち込む中でも、電子レンジで調理できる商品ならば、消費者の簡便ニーズに応えられると商機をみる。 2009年から冷凍米飯事業に乗り出し、現在の
20年産米食味ランキング 特A 3年連続50超 競争激化、有利販売が鍵 日本穀物検定協会(穀検)は4日、2020年産米の食味ランキングを発表した。最高位の「特A」に格付けされた産地銘柄数は53となり、3年連続で50を超えた。北海道「ゆめぴりか」、山形「つや姫」が特Aの連続記録を伸ばした。新型コロナウイルス下で家庭用米の販売競争が激しさを増す中、特A取得を有利販売につなげられるかが焦点だ。 ランキングは今年で50回目。米の良食味競争の激しさに伴い、出品数は増加傾向にある。今回対象となったのは44道府県の154産地銘柄。このうち、特Aは53銘柄で過去最多の18年(55)や19年(54)に次ぐ高水準だった。穀検は「米の主産県は、特Aを取る代表銘柄を持っていないと競争に負けるという思いがある」と指摘する。 コロナ下で、業務用の銘柄も家庭用米市場に流入して競争は激化。特Aで良食味米のお墨付きを得て、
規制会議議論始まる 准組利用「組合員の判断」 農水省が方向性表明 政府の規制改革推進会議農林水産ワーキンググループ(WG)は5日、改正農協法施行5年後の見直しに向けた議論を始めた。農水省やJA全中などから意見を聴取。同省は今後の検討の方向性として、JA准組合員の事業利用については「組合員の判断に基づく」との考えを示した。WG側は、農家所得増大に向けたJAの自己改革の成果を詳細に示すよう求め、数値目標による進捗(しんちょく)管理の必要性も指摘した。 WG 所得増「数値目標を」 会合は非公開。同省は各分野の改革の実施状況を総括し、方向性を示した。…… 次ページに農水省が示した農協改革の検討方向の表があります 全中、「不断の改革」決議 JA全中は5日、東京・大手町のJAビルで臨時総会を開き、「JAグループの『不断の自己改革』の実践に関する特別決議」を採択した。農業者の所得増大、農業生産の拡大、地
[震災10年 復興の先へ] 東北被災地は今…イノシシ増殖 営農再開も被害拡大に不安 帰還へ懸念材料 東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県内5町村(富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村)でのイノシシ捕獲頭数が2年連続で2000頭を超えたことが環境省の調べで分かった。人がいない状況のため繁殖が止まらず、営農を再開した農地で被害も発生。宅地に侵入するケースもあり、避難した住民が今後、帰還する上での支障になる恐れがある。(柘植昌行、中川桜) 福島5町村捕獲数 2年連続で2000頭超 水田と山林の境目にイノシシ向けの電気柵が走る。富岡町の稲作農家、渡邉伸さん(60)は「ここを突破することもある」と打ち明ける。地元の帰宅困難区域指定が解除された2017年以降、営農を再開。水田5ヘクタールを手掛けるが、イノシシに稲を踏み倒されることもあり、食害にも悩まされ続けている。 渡邉
農水予算増額は5県 21年度 コロナ・米需給に力 本紙調査 2021年度の都道府県予算案で、前年度に比べ農林水産予算を増やした都道府県は5県にとどまることが、日本農業新聞の調べで分かった。予算総額では41都道府県が新型コロナウイルス禍への対応などで増額しており、対照的だ。事業では米の需給緩和に対応した転作支援や、コロナ対策で地元農産物の販売に力を入れる県が目立つ。 前年まで当初予算で計上した農業農村整備などの費用を、国に合わせて補正予算に前倒しで計上したことが、21年度農林水産予算が減額した都道府県が多い一因とみられる。…… 次ページに予算案に関する表があります 全農・中金 ファミマと業務提携 農産物販売や商品開発 JA全農と農林中央金庫は16日、伊藤忠商事と子会社のファミリーマートの4者で業務提携を結んだと発表した。ファミリーマート店舗での国産農産物の販売強化や商品開発で連携する。同社の
[現場ルポ 熱源を歩く] どこを誰が守るか 迫る廃村への足音 全国でおよそ9日間に一つずつ、集落が消えている。新型コロナウイルス下で地方移住が脚光を浴びる中、中山間の農業を支えてきた集落の衰退が続く。総務省の統計では2019年までの4年間に164の集落が消滅した。最後の1人が去った時、集落はどんな結末を迎えるのか。むらとの関わり方が問われている。 島根県江津市川平町。住民がゼロまたは1人の集落が、全16集落の半分を占める。町全域をまとめる川平連合自治会会長で、稲作を営む佐々木英夫さん(71)がぼやいた。「すっかり獣のすみかになったよ。開拓前に戻るようだな」…… 米国産牛肉にSG発動 きょうから30日間 日米協定で初 政府は17日、日米貿易協定に基づき、米国産牛肉に緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)を発動すると発表した。2020年度の累計輸入量が3月上旬までに同協定の基準数量を上回ったた
20年間で90品種増 中晩かん 売り場席巻 食べやすく 贈答人気 貯蔵性、甘味で勝負 「デコポン」「紅まどんな」「せとか」など、かんきつ類の中で中晩かんが存在感を強めている。20年間で約90品種が新たに登録された。良食味でブランド感があり、売り場では輸入のグレープフルーツを圧倒する。高単価を背景に栽培面積を伸ばす品種も目立つ。佐賀県は今シーズン、貯蔵が利く品種を投入。新たな市場開拓を目指す。(岩瀬繁信、木村隼人) 中晩かんは主に12~5月が出荷時期のかんきつの総称。古い品種は果皮が厚くてむきにくかったり酸味が強かったりで、手軽さ・甘さを求める消費者に合っていなかった。だが品種開発が進み、食味の良さに加え「皮が薄く、種もない」品種が増え、様相が変わってきた。 2020年、東京都中央卸売市場での中晩かん価格(青果物情報センター調べ)は「愛媛果試第28号(紅まどんな)」が1キロ767円、「せとか
洪水防げ農業ダム出番 「事前放流」空き確保 1級水系の全基で始動 台風や大雨による水害が頻発し、農業用ダムを洪水対策に活用する動きが広がっている。基準を超える雨量が想定される時に「事前放流」などでダムに“空き容量”を確保。増水した水をダムにため込み、河川の氾濫を防ぐ。全国の1級水系にある農業用ダム全265基で取り組みが始まり、防災・減災への効果が期待されている。(北坂公紀) ダムは①増水時に水を蓄え、洪水を防ぐ「治水ダム」②ためた水を農業や発電に使う「利水ダム」③両方の機能を持つ「多目的ダム」──に大別される。全国には、治水機能を持つダムが562基、利水目的のダムが898基ある。 ダムに治水機能を持たせるには、増水時に水を蓄える空き容量を確保しておく必要がある。ただ利水ダムに空きを設けると、渇水時には水不足に拍車が掛かる。そのため、利水ダムが洪水対策で利用されることはほとんどなかった。 昨
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く