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ブックマーク / tomusinet.hatenadiary.org (10)

  • ■相続税は文明を崩壊させる? - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    経済学 (ブックガイドシリーズ―基の30冊) 作者: 根井雅弘出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2014/06/28メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る 根井雅弘編『ブックガイドシリーズ 基の30冊 経済学』人文書院 根井雅弘様、神野照敏様、藤田菜々子様、若森みどり様、ご恵存賜りありがとうございました。 ハロッドはケインジアンの立場から、資主義の発展とともに「利子」がゼロに近づくと考えました。 そのような状況の下で、「金利生活者」たちが没落することを歓迎しました。 ところが他方で、上流階級者がいなくなったら、文明が崩壊するのではないか、と危惧しました。それで相続税については、これを撤廃すべきだと主張したのです。 現代の視点から考えると、賛成できませんね。 まず利子がゼロになるというわけではなく、資収益率はある一定の水準を維持しているようです。資収益率が一定

    ■相続税は文明を崩壊させる? - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU
    paravola
    paravola 2019/08/28
    (ソ連とか)上流階級がその子孫によって継承されずとも、国家主導によって文明を進歩させる。それがどこまで可能なのか
  • ■薬の開発がうつ病を増加させた - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    つくられる病: 過剰医療社会と「正常病」 (ちくま新書) 作者: 井上芳保出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/09/08メディア: 新書この商品を含むブログを見る 井上芳保『つくられる病――過剰医療社会と「正常病」』ちくま新書 面白いです!これまでのご研究の成果を凝縮して、現代の「健康」産業の問題に、鋭く切り込んでいます。反国家介入、過剰医療反対、ノマド・・・リベラリズムの非常に良質な社会批判のスタイルですね。 近年になってうつ病が増えたのは、決して社会的な原因ではなく、セロトニンやドーパミンの分泌に影響を与える薬物が開発されたという、技術的な発展が原因なのですね。そのような薬物を売るためには、「うつ病」や「統合失調症」という診断をして薬物を投与する必要がある。因果の関係は、薬の開発→病気の増加、という順番であって、逆ではない、という女性の薬学研究者の意見(発言)は、私もショッ

    paravola
    paravola 2019/08/28
    そのような薬物を売るためには、「うつ病」や「統合失調症」という診断をして薬物を投与する必要がある。因果の関係は、薬の開発→病気の増加、という順番であって、逆ではない
  • 戦争と巨大科学と大きな政府の三位一体 - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    知識の社会史2: 百科全書からウィキペディアまで 作者: ピーターバーク,Peter Burke,井山弘幸出版社/メーカー: 新曜社発売日: 2015/07/17メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る ピーター・バーク『知識の社会史2 百科全書からウィキペディアまで』井山弘幸訳、新曜社 井山弘幸様、ご恵存賜りありがとうございました。 とても博学な人ですね。断片的なエピソードをこれだけたくさんまとめていただくと、人類が知識とどのようにかかわってきたのかについて、巨視的な視点で考えさせられます。自分もその一人として、ただ知識を集めたり伝えたりするという営みの一端を担っているにすぎないのだということを思い知らされます。 ウィーナーがサイバネティクスを開発したのは、高速で運動する標的に対空高射砲を命中させるために、機械に対していかに教え込んだらいいのか、という問題を研究していると

    戦争と巨大科学と大きな政府の三位一体 - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU
    paravola
    paravola 2017/02/24
    第二次大戦中に連邦政府は毎年五億ドル、平時の約10倍をつぎ込んだ。アメリカでは戦争を通じて「巨大科学」と「大きな政府」が同時にやってきた。政府による援助は1945年以降も続き、冷戦によって推進された
  • リバタリアニズムと伝染病 - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    入門・医療倫理III: 公衆衛生倫理 作者: 赤林朗,児玉聡出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2015/12/01メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 赤林朗/児玉聡編『入門・医療倫理? 公衆衛生倫理』勁草書房 赤林朗さま、児玉聡さま、執筆者の皆さま、ご恵存賜り、ありがとうございました。 公衆衛生の問題は、イデオロギーの試金石でもあります。書では総論と各論のあいだに「政治哲学的基礎」の解説が置かれていて、そこでイデオロギーについての諸学説の検討がなされています。とても興味深く読みました。 医師で医学史家のトーマス・マキューン(MacKeown)は、イングランドやウェールズのデータを用いて、結核やインフルエンザなどの感染症について研究しました。 それによると、19-20世紀に感染症による死亡率が減った要因は、生活や栄養状態の向上や衛生状態の改善にありました。ワクチ

    リバタリアニズムと伝染病 - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU
    paravola
    paravola 2017/02/10
    (できません)伝染病などから人々の生命=財産権を守るべきであるとすれば、リバタリアニズムと福祉国家の政策はある程度まで一致する。福祉国家はある程度まで正当化できますね
  • 資本主義に対抗するミニマリズム - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    〈資論〉第2巻・第3巻入門 作者: デヴィッド・ハーヴェイ,森田成也,中村好孝出版社/メーカー: 作品社発売日: 2016/03/02メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る デヴィッド・ハーヴェイ『〈資論〉第2巻・第3巻入門』森田成也・中村好孝訳、作品社 森田成也様、中村好孝様、ご恵存賜りありがとうございました。 「『資論』の第二巻はその大部分が、マルクスが自分の経済学研究の全体に押しつける傾向にあった「皮相な三段論法的」枠組みのもとで書かれている。彼がこの枠組みをあえて超えようとすることはめったにない。彼が描き出すこのような理論的世界は、たしかにいくつかの点では長い射程を有し啓発的であるが、その他の点では著しく制限的なものである。」(58頁) ハーヴェイはしかし、この第二巻を読むことが報われる作業だ、と解説しています。 訳者解説では、この第二巻を理論的に発展させる

    資本主義に対抗するミニマリズム - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU
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    paravola 2017/02/07
    (清貧の薦め?)脱資本主義の倫理とは、資本の論理に包摂されない仕事をすることであり、また、資本の論理によって必需品とされているものを、「なくてもいい」と理解して捨ててしまうことですね
  • 戦時中の日本の法思想 - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    文化論の展開 ―法主体のダイナミクス 作者: 角田猛之,ヴェルナーメンスキー,森正美,石田慎一郎,大塚滋,鈴木敬夫,北村隆憲,河村有教,プラカシャ・シャー,クレヴァー・マパウレ,テイモア・ハーディン,ファーリス・ナスララ,薗巳晴,宮下克也,荒木亮,久保秀雄,高野さやか,梅村絢美,木村光豪,中村浩爾出版社/メーカー: 信山社発売日: 2015/05/07メディア: 単行この商品を含むブログを見る 鈴木敬夫「戦争犯罪を犯した法学について」『法文化論の展開』信山社(千葉正士先生追悼論集)2015年、所収 鈴木敬夫様、ご恵存賜りありがとうございました。 千葉正士によれば、戦時中の日で、最後まで自覚的に対決し、妥協しなかった法哲学者は、恒藤恭と田中耕太郎のみだった。高柳賢三と尾高朝雄は、国家を承認しなかったが、批判もしなかった。これに対して小野清一郎と広浜嘉雄は、国家の戦争を積極的に正当化した

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    paravola 2016/05/14
    (立憲主義)小野清一郎の場合、「日本法理」という概念を使って、聖徳太子が作った憲法17条を「国体の精華」であると位置づけ、大東亜秩序を建設するための戦争も正当化されるという論理を...
  • ポランニーの自由論 - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    新書784カール・ポランニーの経済学入門 (平凡社新書) 作者: 若森みどり出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2015/08/11メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る 若森みどり『カール・ポランニーの経済学入門』平凡社 若森みどり様、ご恵存賜り、ありがとうございました。 新書ですが、とても内容が詰まっていて、しかもポランニーの現代的意義を探るべく、さまざまな二次文献が参照されています。とても興味深く読みました。 ポランニーのいう「二重運動」は、その帰結として現代の福祉国家を生みだすことになるわけですが、すると問われるべきは、これから先は、「いかなる社会の自己防衛が望ましいのか」「私たちはいかなる種類の政府介入を正当化すべきなのか」ということになるでしょう。どんな福祉国家が望ましいのか、という基準を探るとき、やはりそれは何らかの自由を実現するものでなければならない、と考え

    paravola
    paravola 2016/05/14
    (火元はこれか)ポランニーは「良い自由」と「悪い自由」を区別しています
  • ■公正な市場価格は神の力を前提とする - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    <世界史>の哲学 イスラーム篇 作者: 大澤真幸出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/04/09メディア: 単行この商品を含むブログ (5件) を見る 大澤真幸『〈世界史〉の哲学 イスラーム篇』講談社 大澤真幸様、ご恵存賜りありがとうございました。 大変スリリングに読みました。イスラム教がそもそも資主義と相性が合わないという通念は、確かに誤りのようですね。 オスマン帝国(14C-20C)が、その外部にいる異教徒たち(クリスチャン)の子供を年間3,000人くらい拉致して、自前の教育を施して帝国のエリートに仕立て上げる、というのは独創的な統治技術でした。血族や部族による支配を徹底的に排除して、実力主義によって統治機構を作ると同時に、異教徒を包摂し、領土を拡張する力を備えていことができます。 この問題とは別に、書で論じられる「交換と贈与の問題」について、以下に考えてみます。 単純な

    ■公正な市場価格は神の力を前提とする - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU
    paravola
    paravola 2015/12/26
    (イスラム圏の商売と逆になってるのでは)相手によって価格が変わるような人格的な取引では、取引コストが膨大で市場価格が形成されない
  • ■「貧困の罠」対策には新自由主義政策を - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    社会保障亡国論 (講談社現代新書) 作者: 鈴木亘出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/03/19メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見る 鈴木亘『社会保障亡国論』講談社現代新書 鈴木亘様、ご恵存賜り、ありがとうございました。 リーマン・ショック後の2008年の暮れに、失業者の増大で東京の日比谷公園に「年越し村」が設営されました。 するとその後、生活保護費は急速に増大し、とりわけ、「働けるのに働かないで生活保護費を受給している人」(「その他の世帯」に分類される人)たちの割合が増えました。 もちろん経済危機によって生じる失業問題への対応として、一次的にそのような「働けるのに働かない、働きたくても働けない」人たちに生活保護費を支給することは必要でしょう。しかしいったん生活保護費を受け取ると、今度は、働いても損をしてしまうという状況が生じます。生活保護費をもらうと、「貧困

    paravola
    paravola 2015/06/03
    (鈴木亘)本書の提案は、M.フリードマンの「負の所得税」の発想に従うもので、「給付付き税額控除制度」を取り入れることが望ましい、というもの
  • 政府に反対することは公益を損なうのか - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU

    科学・技術と社会倫理: その統合的思考を探る 作者: 山脇直司出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2015/01/29メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る 山脇直司編『科学・技術と社会倫理』東京大学出版会 山脇直司様、ご恵存賜りありがとうございました。 何が公益であるかは、政府が決める事柄であって、政府に反対することは、それ自体が公益に反する! こんなことを官僚たちは当に主張するのですね。 故高木仁三郎の文章の引用を、以下に再掲します。 「国が原発推進ということを言っている時に、それに賛成しない、原発推進と言わないのはけしからん、そのような批判勢力には公益性はない、(科学技術庁は)こういう論理なのです。――私などよりも三〇歳も若い役人に、これが公益性だというものの国家の定義なんだ、お前はそれに反しているんだと言われた時には、当に情けない気がしました。――人々

    政府に反対することは公益を損なうのか - 橋本努 HASHIMOTO-TSUTOMU
    paravola
    paravola 2015/05/21
    「国が原発推進と言っている時に、それに賛成しないのはけしからん、そのような批判勢力には公益性はない」(科学技術庁)/これが公益性というものの国家の定義
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