「プーチン支持者」から「ロシアの敵」へ 2005年11月13日。場所はモスクワのシェレメーチエヴォ国際空港。ビル・ブラウダーは英国のヒースロー空港からのフライトで到着したばかりだった。 ブラウダーはロシア最大の大口外国投資ファンド「エルミタージュ・キャピタル」のトップだ。普段なら、VIP待遇でパスポートを見せれば数分でゲートが開かれる。だが、このときは到着からすでに約45分も過ぎたのに、待たされ続けていた。時間がかかりすぎだ。 「入国拒否となっています」 ビザが失効しているので、ヒースロー空港に戻らなければならないという。ブラウダーは何かの間違いなのではないかと考えた。数週間後、当局から届いたメールに簡潔に記された入国拒否の事由を読んだが、釈然としない気持ちが募るだけだった。 「『国家の安全、公共の秩序、公衆の衛生』のためならば何人も入国拒否できる」 ブラウダーはロシア市場のパイオニアだっ