■再び注目される山本七平氏 自分自身のブログでも何度も取り上げて来た、いわゆる『空気』の問題は、著書『空気の研究』*1で一世を風靡した評論家の故山本七平氏の名前と共に、近年様々の人が取り上げ、いつのまにか生前の山本氏を知らない世代の間にさえその名が出るようになってきた印象がある。氏は、私があらためて述べるまでもなく、日本の社会、日本人の行動様式等を、『空気』を始めとした独自の概念ツールを使って分析し、わかりやすい著述や講演でその成果を披露してきた大家である。すべてが混乱の極みにある今の日本にあって、日本人が従来頼りにしてきた外来の思想は、マルクス経済学はもとより、近代経済学も、フランス現代思想も、民主主義も、もはや今日を生きる上での指針にはならなくなってしまった。そんな中、あらためて自らを振り返り、『日本とは、日本人とは何なのか』と自問する人は増えて来ているし、そのような人たちが山本氏の研