懸念は大げさではない。東北大が金属材料研究所を置いて力を入れる材料研究。米調査会社のトムソン・ロイターが4月13日に発表した研究機関の論文引用ランキングで東北大は世界3位となり、大阪大学(12位)や東京大学(19位)を押さえて日本勢でトップだった。世界の評価で東大を上回る研究機関が、大きな損害を受けているのだ。 データがなくなり、実験を初めからやり直さなければならないといった事例もこれから出てくるだろう。「復旧と言っても、失った時間は取り戻せない」と井上総長は事態の深刻さを表現する。 茨城県つくば市に集まる公的研究機関の被害も深刻だ。 「はやぶさ」の研究できず 「今秋には宇宙から持ち帰った微粒子の解析を再開したいのだが…」 7年に及ぶ宇宙の旅を終えて2010年6月に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。はやぶさが持ち帰った微粒子から太陽系誕生の謎を探ろうと、今年1月から解析を始めたつくば