「我々の目的は何かというと、しぶとく、たくましく、打たれ強く、そこそこ動くシステム。稼働環境が想定時から逸脱してもそこそこ動くというのは、とてつもなく難しい。そういったシステムの設計原理というのはどういう風なものなのかは、すごく知りたいわけです」と、東北大学大学院工学研究科電気・通信工学専攻の教授である石黒章夫氏は、『単純な運動機能を有する結合振動子系から創発する知能 ~生命状態を持つような人工物の構築を目指して』と題された講演において、自らの研究のモチベーションを示した。 本講演は7月31日に、東北大学青葉山キャンパスにおいて開催された、第15回相互作用と賢さ研究会の一環として行なわれたものである。今年の春に名古屋大学から東北大学へと赴任してきたばかりである石黒氏は、講演のタイトルにもある通り、それ単体では移動すらできないようなシンプルな運動機能を有する多数の非線形結合振動子(互いにくっ