下水処理場から出る汚泥や処理水を食料生産に生かす取り組みが全国に広がっている。トマトの収穫量を増やし、ノリのうまみを増すなど新技術も目を引く。処理技術と農業利用のセットで海外への売り込みを図る国は、汚水と美食のかけ離れたイメージを逆手に取り「ビストロ(庶民的な料理店)下水道」と銘打つ。その“うまみ”やいかに。【町田結子】 【トマトサラダ、鶏の空揚げ】小林カツ代さんのレシピ永遠に ◇トマト、ノリ、スッポンも… 愛知県東部の豊橋市など4市の下水を処理する県豊川浄化センターに、場違いな農業用ハウス(約500平方メートル)が建ち、トマトが丸々と育っている。普通の水耕栽培に見えるが、下水汚泥由来のガスによる発電の過程で出た二酸化炭素(CO2)を、ビニールダクトから苗に吹き付けている。苗の周囲のCO2濃度を高め、光合成を促す。世界初の試みといい、通常に比べ収量は3割増した。苗にはリンなどを含む処理