安倍内閣が教育勅語(ちょくご)について「憲法や教育基本法に反しない形で教材として用いることまでは否定されない」とした答弁書を閣議決定した。 この決定に強い疑念を抱く。 「朕(ちん)(明治天皇)」が、「臣民(国民)」に示した教えが教育勅語だ。 天皇と国家への服従を説き、国民を戦争へと駆り立てる役割を果たした。国民に批判の自由はなかった。 親孝行、夫婦仲良く、友達を大切に。教育勅語が説く徳目を肯定的にとらえるべきだ、という主張も自民党などにある。 だが教育勅語の本質は、こうした徳目を実行することで「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以(もっ)て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」(いざという時には一身を捧げて皇室国家のために尽くせ)と国民に求めたことだ。 こうした歴史的事実を教えるための資料として、教育勅語を使うことはあっていい。 だが、安倍内閣の思惑はそれにとどまるまい。 「戦後レジームからの脱却」を説い