原子力防災上、格別に危険な場所に原発がある。そのリスクを考慮したとは思えない司法判断である。 昨年再稼働した四国電力伊方原発3号機(愛媛県)について広島地裁は、住民らが運転差し止めを求めた仮処分申請を却下した。 原発の沖合には国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が走る。さらに四国では南海トラフ巨大地震の発生が懸念される。大地震と津波に原発事故が重なる複合災害が起きてもおかしくないところだ。 しかし裁判所は、具体的危険によって住民の人格権が侵害される恐れがあるとはいえないと結論付けた。 決定は、東京電力福島第1原発事故後に策定した新規制基準と原子力規制委員会の判断が合理的かを見極め、いずれも不合理でないと認定した。これは、九州電力川内原発1、2号機の再稼働を認めた福岡高裁宮崎支部決定に沿った判断である。 原発の運転差し止めを求める仮処分申請が全国で相次いでいる。 今回の決定はその状況を踏ま