集英社 2009年9月 以下に論じるのは、内田氏の橋本治論なのだが、橋本氏の既刊の6冊の「ああでもなくこうでもなく」から抜粋したコラムと「広告批評」に掲載されたまま単行本未収載のままであったコラムを収めた本「明日は昨日の風が吹く」に附された「解説」である。しかもこの本は、「まえがき」?で橋本氏が、内田さんの書いていることは大体その通りかなとも思うけれど違うところもあるよと書いている、そういう変な構成になっている。 前に「橋本治と内田樹」という妙な本があって、橋本氏の前で内田氏がただ、じたばたしているというような印象の本であった。そうなってしまうのは内田氏が普通の本を書くひとであるのに対して、橋本氏が本来なら絶対に本など書かないはずのひとであるからである(それにもかかわらずとんでもない量の本を書き続けているが)。 要するに内田氏はインテリであるのに対して、橋本氏はインテリではない。知識人業界