2000年夏の出版以来、ひそかに、しかし着実に反響を呼んでいる一冊の本があります。社会学者である著者の文章はなかなか手強いのですが、緻密で論理的な文から浮かび上がる「『強い』ことが本当にいいのか、『弱い』ままでもいいじゃないか」というメッセージが、強いものに憧れ、強くなろうともがく心を揺り動かします。『自己決定』『自己責任』が叫ばれる時代に、『弱くある自由』を語る著者、立岩真也さん。その真意を2回にわたって話していただきます。 70年代からあった、「弱くある自由」という考え方 ・・・まず、『弱くある自由へ』というタイトルにグッときました。とかく『元気な障害者』『がんばってる障害者』を持ち上げる風潮のなかで、「弱いままでいてもいいじゃない」と言ってしまう軟弱さ(笑)。このタイトルに、立岩さんはどんな思いを込められたんですか? 編集者は「売れる本にするために、流行りの『自己決定』という言葉をタ