今年は21世紀にしては涼しいせいか、蝉の声に勢いがある。ふと、見上げた木の上で一生懸命に鳴いているミンミンゼミを見かけた。短い命を賭けて蝉たちは一生懸命に鳴き、繁殖し、死んでいく。その生は私たち人間に比べてアルゴリズム的で、快も苦も単純なシグナルから成っているだろう。 そうした蝉たちを見つめる私自身は人間で、アルゴリズムとしてはもっと複雑な感情や記憶の複合体で動いている。地面に落ち、ばらばらに解体されアリの巣に運ばれていく蝉の死骸を見つめている時の私は、蝉自身には感得できない哀愁におそわれている。 夏に別れを、秋に別れを、それから…… 世の中では「中年危機」について色々な人が色々なことを言っている。私も10年ほど前はよく言っていたし、数年前にはphaさんが、今年は東畑先生がそうしたことを書籍に書いていた。自分が若者の限界点をこえてしまうこと、自分の命が翳りゆくことももちろん大きな問題だし、

