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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/ayakomiyamoto (3)

  • 安楽椅子のダンスミュージックたち - ぼんやり上手

    パラパラ、マカレナ、ツーステップ、ランバダ、ユーロビートといった面々は安楽椅子に座ったまま、静かにまどろんでいた。 そこは天井に近い窓からわずかに光が入るくらいの薄暗い部屋で、椅子は一列に並べられている。彼らはほんのたまにおしゃべりをするくらいで、あとはおのおのの椅子の上でじっとしている。ときおり、マカレナが小さく咳き込む音や、ツーステップのしゃっくりが聞こえてくる。 ダンスフロアからお呼びがかからなくなって、どれくらいの時間が経ったのだろう。 ダンスミュージックたちは眠りを知らない。ダンスミュージックたちは吸血鬼のように、夜の間中ずっと起きている。吸血鬼は人の血を吸って生き永らえるが、ダンスミュージックたちは若い人間の汗や熱気を吸い込んで生きていた。 あの子たちはどうしているのだろう。ダンスミュージックたちは懐かしい思い出に浸っていた。どのダンスミュージックも記憶の中にある若い子たちが大

    pha
    pha 2018/04/19
  • ぼんやり上手--■[ぼんやり童話]勝間和代十夜

    第六夜 「森へ行ってはいけませんよ。森にはカツマカズヨが出ますからね」と、母が言う。自分はもう大きいので、カツマカズヨなんて少しも怖くないが、黙って聞いている。「お父さまが無事お戻りになるまでに、何かあったら困りますからね」母はそう付け加えた。 窓からは遠くに森が見える。今日のような冷え切った日の晩、森の方からときおり「ウィン…ウィン…」と不気味な音が響いてくる。村の人間に言わせれば、それは森の奥深くでカツマカズヨが啼いているからなのである。けれども、カツマカズヨの姿を見た者はまだ誰もいなかった。 月に一度、伯父が訪ねてくる。今日がその日だった。 女子供だけで家を守るのは大変でしょう、あなたはよくやってくれていますよ。伯父はそう母に声を掛け、ミカンや米などが入ったダンボール箱を玄関先に置く。自分にはきまって五百円の小遣いをくれる。 「伯父さまにお小遣いをいただいてよかったわね。それで遊んで

    pha
    pha 2015/03/15
  • 勝間和代十夜 第一夜 - ぼんやり上手

    第一夜 こんな勝間和代を見た。 散髪に行った帰り道、自分の前を勝間和代によく似た女が歩いている。 こんな夕時の田舎町に勝間和代とは珍しい。自分は勝間和代には関心があるほうだったので、思い切って声をかけた。 「ちょいとお尋ねしますが、あなた、勝間さんじゃありませんか」 振り向いた女は、ほほほ、と笑うだけで、質問に答えようとしない。けれどもその笑い顔がいかにも勝間和代にそっくりだったので、やっぱりそうだ、これは勝間和代だ、黙っていたって自分にはわかるぞ、と思った。方向も同じだったので、自然と女と一緒に歩くような形になった。 しばらくは得意な気分で女の横を歩いていたが、そのうち、だんだんとじれったい気持ちになってきた。 「あなた、あれやってくださいよ、あれ。当の勝間さんならご存知でしょう」 それを聞くと女は立ち止まり、にっこりと笑って言った。ようござんす、ただし決まりがあります。わたしがそれを

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    pha 2015/03/15
    ふと読み返したくなって読んだ
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