今日びの動向を見ながら近刊予告 - shinichiroinaba's blogへの補足を試みる。 ==================== 『社会倫理学講義』で戦争倫理学についても少しだけ論じたが、そこではあまりはっきりと立場を打ち出せなかったので、このウクライナ戦争を前にもう少しはっきりさせようと思う。 そこで我々はリベラリズムの政治哲学と矛盾しないリベラルな戦争観とでも言うべきものをおずおずとながら提示した。その要点は結局のところ「戦争と平和の区別をはっきりつける」とでも言うべきものだったかと思う。戦争そのものを悪として否定し、なくすべきだという議論は提示しなかった。実際問題としてときに暴力は噴出し、暴力を用いた紛争は現実に起きてしまうものなので、いかにそれを抑え込み、管理するかという方向で議論を進めた。戦争を絶対に否定すると、実際に起きてしまった戦争を前にそれをあたかも絶対悪である