競合激しいIT業界といえども、互いの生存領域を尊重し共存共栄を図る程度の緩やかな業界秩序が保たれてきた。例えば、米HP(ヒューレット・パッカード)やIBM、デル、富士通がパソコンやサーバー、ストレージ、ソフトを販売し、米シスコシステムズがネットワーク機器を販売するといったことである。 ところが経済が危機的状況を迎えると、各分野のボリュームが減るため、「隣の芝生」に踏み込む野心を抑えきれなくなる。しかも、技術が標準化・コモデティ化して参入障壁が低くなるため、隣接市場への侵攻が一挙に積極化する。結果、業界では統合・再編が起こる。今のIT業界では、そんな激的なドラマが始まっている。象徴的な動きは、シスコのサーバー市場への進出と、HPのネットワーク機器への本格的な取り組みだ。互いの得意分野への侵攻という意味で今年最大の話題をさらいそうだ。米オラクルのデータベース専用ハードも注目の一つである。 現在