IT投資から十分な効果を得ていない日本企業。その原因と考えられるのがビジネスとITの乖離,そしてIT投資構造の抱える問題である。日本企業ではITコスト全体に占めるメンテナンスコストの割合が極めて高い。この状態を放置したままでは,思い切った戦略投資は難しい。現状のIT投資構造にメスを入れ,ITの効果を高めるにはいくつかの課題をクリアする必要がありそうだ。 前回,日本におけるIT生産性の低さの原因の1つとして,ビジネスとITの乖離について説明した。もう1つの大きな原因が,IT投資構造の抱える問題である。アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部テクノロジーコンサルティング統括エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏は,次のように説明する。 「IT支出額に占める戦略的な投資と固定的な支出の割合について,当社が行った調査(※1)によると日本企業は76%:24%,グローバルな調査での