新型コロナウイルス感染者らの情報を共有する政府の新システムが、稼働から2カ月以上経過した現在も一部の自治体で使われていない。感染者らの個人情報の扱い方について一部の自治体関係者の懸念が払拭できていないためだ。厚労省と自治体現場に横たわる溝が、全国稼働を阻んでいる。 新システムの「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」は2020年5月末に稼働した。新型コロナの感染拡大に追われる医療現場が自治体の保健所にFAXを使って新型コロナ発生届を送っているというツイートが注目されたことを踏まえて、厚労省が新たにクラウドサービスを使って構築した。 利用を開始した自治体は増えつつあるものの、一部の自治体にとってHER-SYSを利用できない問題が次々と浮上した。ある自治体関係者は「個人情報の扱い方に問題があり、システム利用を留保している」と明かす。 HER-SYSには新型コロ