戦後日本の針路をどう考えるべきか。それを世に問うた名著が高坂正尭先生の「海洋国家日本の構想」です。これは冷戦中に書かれた本なのです。しかし今これを読み直せば「なんと、これは今現在の問題じゃないか」と思わせる記述が多くあります。 「東洋の離れ座敷」から「極西の国」へ 日本は特殊な位置にあります。中華文明から近からず、遠からずの場所です。ために中華文明を大いに輸入しながら、漢化されることがありませんでした。中華に近すぎるが故に中華のフルコピーを目指さねばならなかった地域には到底不可能だったことです。この傾向ははるか古代からある、と著者はいいます。 日本に入ってきた最初の中国文明を代表するものとして、銅鏡がいかに日本化されたかという過程は、その後のすべての日本と中国の交流を象徴しているように思われる。 日本人は、中国人にとっては宗教的な意味があった怪獣紋を純粋に装飾として扱い、それがいつのまにか
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