海上自衛隊の新型救難飛行艇となる「US-2」の量産型1号機が、開発・生産した新明和工業(兵庫県宝塚市)の甲南工場(神戸市東灘区)で海上自衛隊に引き渡された。昭和50年に開発された「US-1A」の後継機で、今後は1号機も含め計5機が納入され、岩国基地(山口県岩国市)厚木基地(埼玉県厚木市)に順次配備される予定。 全長と幅はそれぞれ約33メートル。本体価格は約100億円と高額だが、波高3メートルの海にも離着水できるなど、高世界最高水準の性能を持ち、約1800キロ離れた場所まで救助活動に向かうことができる。 新明和工業の前身は、戦前に世界的な飛行艇メーカーとして知られた「川西航空機」。旧海軍が運用した多目的飛行艇「二式大艇」や局地戦闘機「紫電改」などを開発した。その技術は戦後、二式大艇を接収した米軍が戦後の飛行艇の設計に取り入れたほどだったという。