「責任だけ押しつけられている気がする」 「対応は難しい」 全国の医療機関から寄せられた、切実な声です。 原子力発電所の取材を担当する私が、事故が起きたときの対応について調べていた中でのことでした。 明らかになったのは、事故の際に医療を提供し続けるための業務継続計画=BCPを整備している医療機関がわずか17%にとどまるという事実。 そこから見えてきたのは、現場任せとも言える国の姿勢でした。 (科学・文化部記者 國友真理子) 私が調べたのは、「原子力災害」、つまり原発事故などのことです。 14年前の3月に起きた東京電力福島第一原発の事故では、避難指示が出された原発20キロ圏内に7つの病院があり、およそ850人が入院していました。 しかし、患者を運ぶ助けも受け入れ先もない中、無理な避難を余儀なくされて3月末までに50人が死亡しました。 この事故を教訓に国は、大勢の患者の診療や避難の受け入れを可能
