ポップカルチャーはエンターテインメントとしてわたしたちを楽しませてくれるだけではない。 戦争が影を落とした民族の歴史に焦点を当てたこの『ブラックパンサー』という映画もまた、王でありヒーローであろうとする物語を通して、今なお続く世界に横たわる断絶を突き付け、問いかける。「自分たちだけがよければそれでいいのか?」と。 映画『ブラックパンサー』。10年にわたってシリーズを展開してきたマーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)の18作目にあたるスーパーヒーロー映画である。 物語の主人公はアフリカの小国・ワカンダの若き国王であるティ・チャラ。先王の死を受けて新たな国王となった彼は、ワカンダ王が代々受け継いできたクロヒョウの戦士「ブラックパンサー」の座も引き継ぐ。 『ブラックパンサー』は、準備ができていないまま国王となったティ・チャラが、ワカンダに降りかかった危機を乗り越えつつ新たな王として己
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