「きさげ加工」をご存じだろうか。先端に刃物を備えた棒状の工具(スクレーパーやきさげとも呼ばれる)を使って手作業で表面を高精度に仕上げる加工法である。高い精度の平面度、具体的には1m2あたりの凹凸が10μmを下回るような精度を実現でき、半導体製造装置や工作機械の摺(しゅう)動面など、高い精度が必要な部品の製造で使われる。 藤田勝商店(千葉市)と藤田製作所(千葉県茂原市)で構成される藤田グループは創業100年を2020年に迎えた老舗企業。製造を担う藤田製作所は、このきさげ加工を中心とした高精度加工を強みにしており、検査などで平面の基準として使う定盤の製造を中心に、半導体製造装置や工作機械などさまざまな装置向けの高精度加工も受託する。従業員は110人と規模は決して大きくないが、納品先には自動車メーカーや工作機械メーカーなど大手メーカーが名を連ねる。多くの製造業が新型コロナウイルス感染症の影響で苦