膨大な数の物語を消費し続け、それでも満たされない。Twitterアカウントを新規作成するたび「いま起きていることを見つけよう」というメッセージの――まさにその「いま」によって自我が輪切りにされてゆくことの、過去を切断してゆくことの――無意味さに耐えられない。飼い慣らされた快楽のままにガチャは無限に回されて、指先はスマートフォンの画面に同じ形をなぞり続ける。 これは、そんな虚無的な欲望の果てに、消費される物語群-シミュラークルの犠牲になった"少女たち"の幻視である。 永遠に終わらせることのできない〔物語〕に囚われている、そんなあなたたちの孤独へ。 講堂へ続く狭い通路を歩いていた卒業生は気が付くと暗い部屋に寝ていた。部屋は四角く石造りだった。部屋には二枚、ドアがあり、内一方には貼り紙がしてあった。 卒業生各位。下記の通り卒業試験を実施する。“ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数を