タグ

ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (8)

  • 『世界システム論講義』はスゴ本

    「なぜ世界がこうなっているのか?」への、説得力ある議論が展開される。薄いのに濃いスゴ。 世界史やっててゾクゾクするのは、うすうす感じていたアイディアが、明確な議論として成立しており、さらにそこから歴史を再物語る観点を引き出したとき。「こんなことを考えるの私ぐらいだろう」と思って黙ってた仮説が、実は支配的な歴史観をひっくり返す鍵であることを知った瞬間、知的興奮はMAXになる。 たとえば、「先進国(developed)」と「途上国(developing)」という語に、ずっと違和感があった。「後進国」は差別的だからやめましょうという圧力よりも、この用語そのものが孕む欺瞞を感じていた。 なぜなら、この語の背景として、近代化・工業化が進むというプロセスがあるから。なんなら、進化のメタファーを使ってもいい。産業構造が一次から高次に転換するとか、封建社会から資主義社会に"進化"するといった欧米の経済

    『世界システム論講義』はスゴ本
    popoon
    popoon 2016/02/10
  • 美は、見る人のなかにある『美しい幾何学』

    これを紹介するのは、とても簡単で、すごく難しい。 というのも、簡単なのは、これは「見る数学」だから。ただ眺めているだけで、その美しさが伝わってくるから。教科書ならモノクロで印刷される定理や図形を、鮮やかなモダンアートにして魅せてくれるから。オイラー線やサイクロイド、シュタイナーの円鎖など、単体でも美しいフォルムをカラフルにリデザインしており、ページを繰るだけで楽しくなる。ひまわりやオウムガイの螺旋に見られる、形のなす必然に心が奪われるだろう(たとえフィボナッチ数の話を知っていたとしても)。 同時にこれは、「知る数学」でもある。だから、伝えるのは難しい。直感だけで受け取った美には、そのパターンを支えるシンプルな定理が存在し、かつそれは、なるべくしてそうなっていることに気づかされる。この必然性を知るためには、やはり定理を解き、式を理解する必要がでてくる。編集方針なのだろう、数式を控えめに、なる

    美は、見る人のなかにある『美しい幾何学』
  • 人生を面白くする一冊『人生ドラクエ化マニュアル』

    人生を難しくしているのは私なのだから、面白くするのも私だ。限界を決めているのは自分だから、破るのも自分だ。そのやり方を指南するのがこれ。 しがらみ・ローン・世間体に挟まれて、溶けかかった人生にとって、いい電撃になった。さらっと読めるくせに、忘れていた情熱を盛大に煽ってくれる、しかもドラクエを燃料にして。 よくある「人生で大切なことはゲームで学んだ」的なライフハックのコピペ集かと思いきや、より構造化されたマニュアルとなっている。「人生=ドラクエ」に喩えるだけでなく、その喩えからのズレこそが、人生をより面白くさせていることに気づかせてくれる。現実逃避のためのゲームが、人生をブーストしてくれるのだ。 たとえば、人生(という名の)ゲームにおける敵は、目標(=夢)を設定した瞬間、自動生成されるという。この「敵」とは、目標の前に立ちはだかる障害となる人になる。面白いのは、ただ「たたかう」ことで倒すだけ

    人生を面白くする一冊『人生ドラクエ化マニュアル』
  • 怒りの根っこには必ず、「私が正しい」という思いがある『怒らない練習』

    怒らない人生が欲しい人に。 マスゴミ、経済学者、暴走老人と、世に怒りの種は尽きまじ。新聞読まないのは心の平穏のためだし、オフィスではひたすら平常心、の罵倒は御褒美です。それでも「イラッ」とくる瞬間が怖い。いったん怒りのスイッチが入ったら、どんどんエスカレートして逆上するから。そして、ずっと後になっても何度となく思い出してはネチネチ自分を責めるハメになるから。 なんとかせねばと読んだのが『怒らないこと』、これは素晴らしいだった。なぜなら人生変わったから。「一冊で人生が変わる」ような軽い人生なのかと言われそうだが、違う。「怒り」の悩みは常々抱えており、ガン無視したり抑圧したり、王様の耳はロバの耳を繰り返してきた。上手くいったりいかなかったり、アンガー・マネジメントはかくも難しい。だが、そういう苦悩を重ねてきた結果、この一冊をトリガーとして一変させるだけの下準備になっていたのだろう。とにかく

    怒りの根っこには必ず、「私が正しい」という思いがある『怒らない練習』
  • 文章読本の名著90冊から抽出した『究極の文章術』と、わたしが強力にお薦めする2冊

    上手になりたい全ての人に。 文章術を紹介するエントリが定期的にもてはやされる。中身は似たり寄ったりなのに、なぜ? それは、文章「術」が好きだから。ほらあれだ、勉強「法」ばかりアレコレ試して計画するけど、勉強そのものはあんまり、というやつ。このは、そんな人にピッタリで、かつトドメを刺す一冊になる。 ご紹介の前に、わたしの方法をお伝えする。文章が上手になりたいのなら、次をひたすら繰り返すしかない(ソース俺、反論歓迎)。 1. 書け 2. 削れ これだけ。書き出しが決まらないとか、構成がまとまらないとか、悩みが尽きないのは分かる。でもこれしかないんだ。そして、1と2をやらないなら、文章読を読んでも無駄。あれは、作家さんが小遣い稼ぎにらしいこと言ってるだけで、それだけでは参考にならぬ。1と2を繰り返していくことで、腑に落ちるんだよ。教則だけで運転ができるかよ、泳げるのか? まず書け、そして削

    文章読本の名著90冊から抽出した『究極の文章術』と、わたしが強力にお薦めする2冊
  • 糞システムにしないため、私ができること『はじめよう! 要件定義』

    「なぜ糞システムができあがるか?」の答えは、「一つ前の仕事をしている」に尽きる。 詳しくはリンク先を見てもらうとして、まとめるなら、自分の仕事のインプットが出来てないので、仕方なく前工程の仕事を代行しているうちに、リソースと気力がどんどん失われているからになる。これはプログラマに限らず、SEからPM、テスタや運用を入れても、当てはまる。「何をするのか」が決められない経営層が糞だから、あとはGIGOの法則(Garbage In, Garbage Out)に従う。 では、どうすればよいか? 「“何をするのか”を決めてもらう」という回答だと、連中と同じ肥溜めに落ちている。なぜなら奴らの“目標”とは、「売上を○%ストレッチする」とか「新規市場を開拓する」といった、現状を裏返した願望にすぎないから。売上アップ/新規開拓のために、どこに注力して、何にリソースを使い、そのために必要な道具(システム)を“

    糞システムにしないため、私ができること『はじめよう! 要件定義』
    popoon
    popoon 2015/03/14
  • 最高の入門書を一冊で『そうだったのか現代思想』

    きっかけは、このツイートに遡る。 色んなメンヘラを見てきて思うのは、あいつら圧倒的には読書量が足りねえってこと。メンヘラが一心不乱に悩んでることは1000年とか2000年前のメンヘラが既に悩み終わってることなんだよ — プリンツ=オイゲン (@_sexperia) 2014, 12月 16 メンヘラに限らないし、2000年は盛りすぎだ。だが言ってることは合っている。ええトシこいたオッサンなのに、中学生からの悩み「私とは誰か(何か)?」がまだ悩み終わっていないのは、圧倒的に足りないから。存在論と認識論から始まって、認知科学や科学哲学、数学から仏教まで、道草が愉しすぎて終わる気がしない。わたしの時間が終わるまで、知りたいことを知り尽くしたい。 その手引きとなる一冊がこれだ。網羅性はないし単純化バイアスが掛かっているが、現代思想のエッセンスを凝縮し、ひたすら噛み砕くのが良い。要所要所で出てくる概

    最高の入門書を一冊で『そうだったのか現代思想』
  • 大学教師が新入生に薦める100冊

    ドカ読み上等!若さに任せて読みふけろ、読むべきを読み干すべし。 このリストは、以下の4500冊超の中から、読むべき100冊を選んだもの。だから、「大学新入生に薦める」というより、若かったわたしに読ませたいリストであり、もう若くないわたしが読むべきリストなのだ。しょうもない新刊ばかり追いかけて踊らされているわたしの目を覚まし、叱咤激励するリストなのだ。 書籍『東大教師が新入生にすすめる』文藝春秋編 書籍『東大教師が新入生にすすめる<2>』文藝春秋編 書籍『教養のためのブックガイド』小林康夫ほか 書籍『大学新入生に薦める101冊の』広島大学101冊のプロジェクト編 書籍『大学新入生に薦める101冊の 新版』広島大学101冊の委員会編 書籍『必読書150』柄谷行人ほか サイト[東京大学 学科別 分類による推薦図書] サイト[は脳を育てる 北大教員による新入生への推薦図書] TV番

    大学教師が新入生に薦める100冊
    popoon
    popoon 2014/06/18
    保存版。
  • 1