会議室にとても大きなテーブルがある。そのテーブルを囲んで、数人の大人がタバコを吸いながら会議をしている。テーブルの中央には灰皿がひとつ置かれているが、灰を落とすにはとにかく腕を伸ばさないと届かない。会議は何事もなく続いている。 コント「大きなテーブル」について聞いたのは、これだけだった。私は頭の中で、勝手にこのテーブルを円卓にしてみる。窓のブラインドを開けてみる。灰皿のまわりに散らばる灰の量を増やしてみる。テーブルのサイズを調節する。どうするのが面白いのか、自分の能力を測るように、その会議室をおそるおそる動かしていく。 「あれは笑ったなあ」 渋谷のデニーズで、昔自分が書いたコントの設定を話しながら、宮沢さんは楽しそうに笑った。日常にある動き、身体性の笑いについて教えてくれるのに、宮沢さんは「こうするのが面白いよ」とは言わずに、「あれは笑った」と言う。そんなところが好きだった。 「あの当時は
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