現在の日本で今まで当然のように聴くことができた音楽を聴くことができなくなったら?――想像もできないことだが、あながち起こりえないことでもない。例えば電気グルーヴの全作品が配信/販売停止になった際、特にクラウドでのリスニングを習慣にしていた人の多くはライブラリーが完全にブランクになってしまった状況にショックを受けたはずだ。「このアーティストは問題だから、作品も聴かせない」、それは果たして誰が決定することなのか。そして近未来において、自由に音楽を聴くことができない事情が生まれるとしたら、それはどんな理由なのだろうか。起こってほしくないことだが、過去の歴史にはそんな恐ろしいことがあった。それを実感する糸口が、この「ボーン・ミュージック」だ。 ボーン・レコード=直訳すると骨のレコード、だが、実際はレントゲン写真のフィルムに音源をカッティングしたレコードだ。40~60年代、冷戦時代のソビエト(ソ連)