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山形浩生に関するprisoneronthewaterのブックマーク (160)

  • W.S.バロウズ『爆発した切符』全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    映画『クィア』公開でいろいろバロウズがらみのが再刊されてめでたい。 gaga.ne.jp もちろん原作の「クィア/おかま」も再刊だ。 クィア (河出文庫) 作者:ウィリアム・S・バロウズ河出書房新社Amazon そしてしばらく品切れだった「ジャンキー」「裸のランチ」も版を改めて再刊してくれるとのことなので、ちまちま見直している。 が、昔のやつの焼き直しだけなのもアレなので、長きにわたり懸案のあれを仕上げました。 cruel.org pdfも上のリンク先にあるのでそれを見て。 底は、グローブ版/カルダー版を使用した。Archive.orgにあるスキャン版にはかなりお世話になった。 そこそこ面倒な訳。もう20年にまたがる翻訳だから、「彼/かれ」とか表現の統一が最初のほうと最後で取れていない部分が多々あるけれど、正直いってそれが問題になるではないと思う。もう一度読み直して全体の統一を……い

    W.S.バロウズ『爆発した切符』全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • Ding, "Technology and the Great Powers" 感想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    概要 Jeffery Ding ”Technology and the Great Powers” レジュメ。 イノベーションが重要であり、それが国⼒を決定するという議論は多いが、そうした 議論は通常、イノベーションが重要産業のリードを実現し、それが勝者総取りのよう な形で先⾏者利益を得ることで経済覇権が実現されるという⾒⽅を取る。だが実際に は、汎⽤技術が経済全体に浸透する拡散のほうが重要。これは第 1 次〜4 次産業⾰命 を⾒ても⾔える。それを実現する基盤は、エリート育成や戦略産業ではなく、産学を つなぐ広い受け⽫となる基盤(制度)の存在である、と主張。 視点はおもしろく、拡散に注⽬すべきだという点は理解できる。ただし実際の分析は (特に⽇の興亡についての部分など) かなり雑。そもそもそれぞれの産業⾰命という のがあまりピンとこないうえ、第 1 次-2 次で重要だったはずの業界団体や

    Ding, "Technology and the Great Powers" 感想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • J.D.ヴァンス米副大統領の、ミュンヘン安保会議 (2025/2024)での発言 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なんかミュンヘンの安全保障会議で、アメリカ副大統領のJDヴァンスが何やらいったとかで、Twitterで安全保障の専門家なる人々があれこれ論評していた。アメリカのヨーロッパとの決別姿勢があらわになったとか、もうアメリカはヨーロッパを支援しないぞとキレたとか、ロシアとの交渉が勝手に進められそうだとか。あとドイツが怒ったとかなんとか。 特にヨーロッパの報道は、アメリカがヨーロッパを侮辱した、上から目線で説教しやがって生意気だ、アメリカがヨーロッパを下に見てウクライナを見捨てることにしたとかいう話ばかり。 が、相変わらず報道ではその演説や発言の全体像が全然伝わってこず、言葉尻の断片ばかりなので、自分で原文を読んでみた。ついでに、きみたちにも読ませてやろう。ほらこれだ。そんな長くないよ。 2025年2月ミュンヘン安全保障会議J・D・ヴァンス米副大統領の発言 ……とお膳立てしてやっても、お前らが読まな

    J.D.ヴァンス米副大統領の、ミュンヘン安保会議 (2025/2024)での発言 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ラファティ、バロウズ、人工知能 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    一部の人には朗報かもしれず、ほとんどの人にはまったくどうでもいいことだろうが、ちょっとラファティ『アーキペラゴ』翻訳の続きをやってみた。まだ全11章のうちの4章終わっただけ。ついでに、それにまつわる思い出も解説でちょっと書いたよ。 R.A.ラファティ『アーキペラゴ』(4章まで) このままこの調子で続けるかはわからない。少しはやると思うけれど。実はもう一つ別の仕掛かり品も再開してみた。 cruel.org どっちも、箱からが出てきたおかげが大きい。こちらもこのまま進めるかどうかはわからんが、仕掛かりをなるべく片づけようと思ってるので、どっちも多少は進むでしょう。 だがそれより、特にこの『アーキペラゴ』はわけのわからない作品で、解説でも書いてるけど、神話を下敷きにしてるのはわかるがそれがどうした的な話で、いろいろ言いたいことがあるようだが何を言ってるのかわからない。そこで面白半分で、4章冒頭

    ラファティ、バロウズ、人工知能 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • レナード「法に抗っての進歩:アメリカでの日本アニメ・ファンサブ史」(2004) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    もう20年も前に訳した論文だけれど、アメリカにおいて日アニメが、ファンによる著作権無視のファンサブ活動を通じて広まったことを示す研究論文。ファンサブというのは、ファンがつける字幕のことね。 法に抗っての進歩:アメリカにおける日アニメの爆発的成長とファン流通、著作権 html版もある。 cruel.org ポピュラー文化伝搬の歴史から見ても、著作権と文化普及の関係を見る上でも非常に重要なポイント。SSDのファイルを整理しているうちに出てきた。ウェブページは造ったが、当時はTwitterもなく、一部の好事家がリンクしてそれでおしまいになったように記憶しているので、あらためて広めておく。 こういう、グレーゾーン (というか厳密にいえば完全アウト) な海賊活動は、やがて正史が出てくると、すぐに押し潰されてなかったことにされて消えてしまい、その海賊活動の恩恵を大いに受けた人ですらすぐに手のひら返

    レナード「法に抗っての進歩:アメリカでの日本アニメ・ファンサブ史」(2004) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ベスター『ローグとデミ:はちゃメタ♡恋のだましあいっ!』訳了。邦題変えてやったぜ激おこプンプン丸 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    オッケー、やりかけベスター終わったぜ。 cruel.hatenablog.com 終わったんだが…… ワタクシいま、なんとも言えない喪失感と怒りの混在するワナワナ感にうちふるえておりますわよ、まったくちょっとアルフレッドくん、これ一体何ですのん? というわけで、中身にあわせて邦題かえました。 アルフレッド・ベスター『ローグとデミ:はちゃメタ♡恋のだましあいっ!』(pdf 1.8MB) だってホントにそういう話なんですもん。プンプン。訳し終わっての脱力感、ちょっとわかっていただけます? おいベスター、てめえ、これが遺作でいいのかよ! いまからでも生き返って、最後にドーンと力を見せてくれよ(涙) 失望と絶望と恐怖にうちふるえたい人は……あ、でも内部利用のみのファイルだから読んではいけませんよ。なお、読まずにこの邦題が不当だと思ったら、好きに変えてくれていいよ。ワードのファイルが以下にあるから。

    ベスター『ローグとデミ:はちゃメタ♡恋のだましあいっ!』訳了。邦題変えてやったぜ激おこプンプン丸 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 『おぼえていないときもある』の余白:浅倉=大谷の不思議と日本SF業界 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    お年玉企画で、バロウズ『おぼえていないときもある』のファイルを作っていてふと思い出したこと。 cruel.hatenablog.com ここに収録されている浅倉久志の名訳「おぼえていないときもある」は、創元推理文庫のジュディス・メリル編『年刊SF傑作選7』に収録されている。でもこのの訳者は、大谷圭二となっている (同じく5巻も)。もちろんこれは、浅倉久志なのだ。 さて、なぜだろう。 ぼくは意地が悪いので、これは浅倉久志が、東京創元社で翻訳をすることに、何らかの不都合があったからだろう、と思ってしまう。もちろん浅倉久志が気まぐれか、何かの思惑で別の筆名を使った可能性はゼロではないが、「久霧亜子」のようなネタでもなさそうだし、営業的に見ても浅倉久志の名前で出したほうがいいはずだし、わざわざそんなことをする理由はなかなか思いつかない。 そしてその不都合というのは、おそらく早川書房で作家/翻訳者

    『おぼえていないときもある』の余白:浅倉=大谷の不思議と日本SF業界 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • バージェス『ジョイスプリック:ジェイムズ・ジョイスのことば入門』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昨日のBester ”Decievers” とともに、ずっとハードディスクの肥やしになっていたのが、このバージェス『ジョイスプリック』の翻訳しかかり。 これはかの「時計仕掛けのオレンジ」で知られるアントニイ・バージェスが、ジェイムズ・ジョイスについて書いた短いだ。ずっと前に読んでいて、この冒頭部の、普通小説風 (このの表現では、第一種の作家風)に書き換えた『ユリシーズ』冒頭部というのが大好きで、そしてこれを考えることでジョイスについての理解はかなり深まった……というのは大げさだな。ぼくはジョイスのそんなにいい読者ではない。『ユリシーズ』も途中をかなり飛ばして雑にしか読んでいない。でも、そこで何が行われているのかは、少しわかったように思う。 多くの人は文学というと、すばらしい壮大な、風景が目に浮かぶような流麗に書かれた作品だと思っている。カズオ・イシグロとかね。だがバージェスは、そんなの

    バージェス『ジョイスプリック:ジェイムズ・ジョイスのことば入門』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ベスター『Deceivers』(1981) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    セネガルから帰ってきたら、SSDの奥底から昔のが出てきたんで、1章分だけやっちゃいました。 The Deceivers (English Edition) 作者:Bester, Alfred iBooks Amazon アルフレッド・ベスター『たばかりし者たち (The Deceivers)』(1981) あの『コンピュータ・コネクション』と『ゴーレム100』の間の佳作となる。(付記:後で見たら、ゴーレム100の後なのか。失礼) コンピュータ・コネクション (1980年) (サンリオSF文庫) 作者:アルフレッド・ベスター Amazon ゴーレム 100 (未来の文学) 作者:アルフレッド ベスター 国書刊行会 Amazon 英語圏の評判を見ると、ウィキペディアでもそうなんだが、この晩期の作品はどれもあまり評価されてなくて、ぐちゃぐちゃでわけわかんなくて、晩節を汚すものとして罵倒されている

    ベスター『Deceivers』(1981) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 余談:モーレツ営業係長としてのチェ・ゲバラ、および商品としての革命 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary チェ・ゲバラのキューバ革命とそれ以降の成功と挫折は、上(カストロ) がお膳立てしたうえでのモーレツ営業係長的な成功と、そしてそれが勘違いしたまま部長になってしまい、お膳立てがなくなって思うように事態が進まなくなったときの困惑、シバキ主義とパワハラ化、一気に立て直そうとする焦り、かつての栄光を夢見ての挫折、といったプロセスで説明できるのではと思う。 そしてそこでは、その営業係長として売り込んでいた「革命」という商品の変化も効いてくる。20世紀社会主義革命は、機械化と量産による生産性向上と、その恩恵の平等な分配で万人にパンを与えるというパッケージ商品。だがもし機械化が成功しすぎてパンくらい無人でも平気で提供するようになると、そもそもの労働が不要になるために逆に合理化/機械化反対を余儀なくされ、イノベーションも否定することになり、一方で人民の「パン以外もよこせ

    余談:モーレツ営業係長としてのチェ・ゲバラ、および商品としての革命 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • リックライダー「銀河間計算機ネットワークのメンバー向けメモ」(1963) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary インターネットの生みの親の一人とされるリックライダーが全地球的、宇宙的な壮大なネットワーク構想を抱いていたという根拠としてよく持ち出される文書。ただし実際の中身は、宇宙はおろか地球全体といった話はほぼ出てこない。計算機センターの相互運用を高めるための標準化やRFC的なコンセンサスの必要性をめぐる漠然としたアイデア。言語の標準化、ネットワークのプロトコルめいたものの必要性、さらにネットワーク上のリソース共有の方法について議論しようという、会議のためのアイデアメモ。 ADVANCED RESEARCH PROJECTS AGENCY (高等研究計画局 / ARPA) Washington 25, D.C. April 23, 1963 メモ: 銀河間計算機ネットワークのメンバーおよび関係者向け Memorandum For Members and Affil

    リックライダー「銀河間計算機ネットワークのメンバー向けメモ」(1963) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • Newman ”JULIA": オーウェルの顔を長靴で踏みにじる粗悪なフェミ二次創作 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary オーウェル『一九八四』をジュリアの視点から語り直した、フェミ版『一九八四』というふれこみで出てきた小説だが、その中身はというと、実はジュリアは体制側のスパイで、下々の男たちはみんな、ジュリアにハニーポットで陥れられただけのバカでした、というもの。『一九八四』はすべて、彼女の仕組んだ猿芝居でしかなかったという原作軽侮の極致。その彼女も裏切られて愛情省で拷問を受けるが、最後にネズミをいちぎって男との格の差を示し、ビッグ・ブラザーへの憎悪を確信して、反乱軍を(一瞬で)見つけ出して囚われのビッグ・ブラザーと対面し、総攻撃に向かう。『一九八四』の世界やイデオロギー観に何も付け加えないどころか、女子をかっこよく描くためにむしろ退行した、原作に対する冒涜でしかなく三流フェミ二次創作。 Newman ”JULIA": オーウェルの顔を長で踏みにじる粗悪なフェミ二次創

    Newman ”JULIA": オーウェルの顔を長靴で踏みにじる粗悪なフェミ二次創作 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • アルセ『チェ・ゲバラ最後の真実』: ボリビアでのゲリラ戦を大量のインタビューで細かく追った良い本 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary アルセ『チェ・ゲバラ最後の真実』: チェ・ゲバラの1967年のボリビア侵略とその敗北について、大量のインタビューで追った。細かい移動、作戦行動、物資、その他いろいろな話を、生き残りや当時の軍人、地元住民などの大量のインタビューで裏付けている。手の切断、デスマスク、防腐処置の詳細まできわめて細かい。インタビューの実際の言葉をそのまま引用してくれているので、迫真性もある。巻末100ページほどは彼の伝記の簡単なおさらいになっており、特に目新しい部分はないものの、写真も豊富でこれもおもしろい。なかなかよい。 アルセ『チェ・ゲバラ最後の真実』: ボリビアでのゲリラ戦を大量のインタビューで細かく追った良い そろそろまとまったゲバラもほとんどなくなった。 チェ・ゲバラ 最後の真実 作者:レヒナルド ウスタリス アルセ武田ランダムハウスジャパンAmazon チェ

    アルセ『チェ・ゲバラ最後の真実』: ボリビアでのゲリラ戦を大量のインタビューで細かく追った良い本 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 内藤『チェ・ゲバラとキューバ革命』:単なる公式プロパガンダに基づく切手コレクション紹介 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 内藤『チェ・ゲバラとキューバ革命』は、ゲバラの伝記的な話をすべて、公式プロパガンダでしかないと批判されているタイボIIによる伝記に頼っており、都合の悪いことが書かれていなかったり美化されたりしている。また、ゲバラが会う様々な政治家たちについて、コンゴ動乱の背景やベトナム戦争の詳細についていきなり数十ページにわたり記述が展開され、記述として焦点がしぼれておらず、読んでいて混乱する。そして「ポスタルメディアで読み解く」という郵便学の利用が売りのはずであり、切手がプロパガンダに貢献するのがポイントのはずだが、プロパガンダ (つまり実際とはちがう誇張や歪曲) についての分析はほとんどなく、単なる記念切手紹介や肖像写真がわりの切手利用にとどまり、郵便学なるものの意義がない。 チェ・ゲバラ関連は一通り目を通すという方針でいろいろ見てきた。で、この内藤陽介のがある

    内藤『チェ・ゲバラとキューバ革命』:単なる公式プロパガンダに基づく切手コレクション紹介 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • チェ・ゲバラの命乞い&愛人隠し子と「ゲバラ伝」での削除 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary アンダーソン『チェ・ゲバラ:革命的人生』はすごい伝記ではあるが、1997年の初版から2010年の増補版への改訂で、ゲバラがつかまるときに命乞いをしたという一節がなぜか削除されており、ネット上ではそれが政治的圧力によるのではと勘ぐる声もある。また、伊高の新書に出ている、彼の愛人と隠し子の話が一切触れられていない。アンダーソンの執筆当時はすでに、その話はでまわっていたし、ゲバラ未亡人アレイダ・マルチも知っていたはず。なぜ噂としても触れられていないのかは不思議ではある。 チェ・ゲバラの命乞い&愛人隠し子と「ゲバラ伝」での削除 以前、アンダーソン『チェ・ゲバラ:革命的人生』(増補版、2010) を絶賛した。 cruel.hatenablog.com そしてその絶賛はいまも変わらない。チェ・ゲバラの伝記としてこれ以上のものは今のところ出ていないと思う。今後、これ

    チェ・ゲバラの命乞い&愛人隠し子と「ゲバラ伝」での削除 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • フアン・マルティン・ゲバラ(弟) 「Che, My Brother」末弟の回想記だが美化と伝聞に終始。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 2017年に出た、かのチェ・ゲバラの、15才年下の末弟による兄の思い出……は前半だけで後半は自分の話。キューバ革命のときにまだ14才くらいなので、それ以前の兄エルネストについては (ほとんど家にいなかったこともあり) 漠然とした記憶しかない。このため他の伝記などからの伝聞だらけでオリジナルな部分は家族の思い出だけ。それもあまり詳しくなくて、弁明と美化に終始。人が絶対に知り得ないことを断言したりする。たとえば革命直後の粛清裁判で、兄は実に人道的でフェアで云々と断言するが、そんなのお客さんできてた家族にわかるわけがない。ただし巻末についた家族の写真や各種の新聞切り抜きはきわめて貴重。 Che, My Brother (English Edition) 作者:Guevara, Juan Martin,Vincent, ArmellePolityAmazon

    フアン・マルティン・ゲバラ(弟) 「Che, My Brother」末弟の回想記だが美化と伝聞に終始。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ラヴジョイ『ベルクソンとロマン主義的進化主義』:またはベルクソンなんてインチキ宗教! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    エラン・ヴィタール。ベルクソンもおすすめしてます! 一連の『存在の大いなる連鎖』翻訳を終えたけれど、ラヴジョイ関連のツイートを検索して見てたら、哲学教師が、「ベルクソンとラヴジョイは同じ方向を向いている」という世迷い言を述べているのがあった。どこかにスクリーンショットをとったはずだけど、出てきたら貼り付けておこう。←あった。ベルクソンが存在の連鎖を終わらせた? ふーん。 でも、これはずいぶん首をかしげる話ではある。『存在の大いなる連鎖』でも、ベルクソンは単なる昔の存在の連鎖にもとづく進化論を蒸し返しているだけのヤツで、さらにはへんな悟りっぽいレトリックで人々をたぶらかしてるだけのインチキなやつ、というのは明言されている。この二人が同じほうを向いているはずは絶対ないのだ。 で、たまたままさにラヴジョイがベルクソンについて論じた講演録があったので、それを取り寄せてまずは全文をpdf化いたしまし

    ラヴジョイ『ベルクソンとロマン主義的進化主義』:またはベルクソンなんてインチキ宗教! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第9講:存在の連鎖の時間化 (これで全部終わり!) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はいはい、ちょっとだけ残すのもいやだったので、やってしまいましたよ。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』全訳 (pdf、3.3MB) これまでずっと続けてきたラヴジョイ、これで注も含めて全訳あげました。詩とか、長々しい引用とかはあまりに面倒なので訳しておりませんが、詩は苦労してそれっぽく訳したところで、何か追加でわかるわけではないし、引用部分も決して追加情報があるわけではない。文中でラヴジョイが語ったことの裏付けでしかないので、まあ許しなさい。 cruel.hatenablog.com これで一通り訳し終わったが、もちろん内部利用用なのでみなさん勝手に読んではいけませんよ。 9章:存在の連鎖の時間化 さて残っていた第9章は、存在の大いなる連鎖の時間化、というもの。ここはそれなりにおもしろい。が、テーマは簡単。静的な存在の連鎖/充満の原理は、ライプニッツ&スピノザの章で見たように、決定論的な世

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第9講:存在の連鎖の時間化 (これで全部終わり!) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • マッカーシー遺作、護身術バリツ、財政金融政策 - Cakes連載『新・山形月報!』

    ずいぶん間が空いた山形月報ですが、今回は文学好きの間では話題ながらも難物と言われるコーマック・マッカーシー遺作2部作を中心に、ホームズの格闘術と、財政金融政策の話。文学にネタのような真面目な格闘術、さらには経済話といつもながらバラバラですが、さて、どんな話になるでしょうか! ずいぶん間が開いた (一年以上かよ!)。いつもながら、採りあげるつもり満々のが一冊あって、それをどう料理しようか考えるうちに、ずるずる先送りになってしまうというありがちな話ではあります。 で、今回扱うのは、それではない。 コーマック・マッカーシーの遺作となる2部作『通り過ぎゆく者』『ステラ・マリス』だ。 マッカーシー『通り過ぎゆく者』 コーマック・マッカーシーは、現代にあって、当の意味での文学を書けた数少ない作家の一人だ。そして、それは文学というものの意義が変わってきた現代では、決して容易なことではない。 村上龍は

    マッカーシー遺作、護身術バリツ、財政金融政策 - Cakes連載『新・山形月報!』
  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第6講:18世紀の人間の立ち位置 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はい、ラヴジョイの続き。 cruel.hatenablog.com 今回は、18世紀に、存在の大いなる連鎖が流行って、それが人間の立ち位置についての考え方に影響し、格差社会の弁明まで出てきました、という話。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第6講:18世紀の人間の立ち位置 比較的中身は薄いというか、言われていることはそんなに意外ではなく、ああ、こういう考え方も出てくるかねえ。というもの。全体として、存在の位階があってそれが重要なんだから、人間は自分が特別と思うな、自分のポジションだけ守ってろ、改善しようとするな、という現状肯定イデオロギーが出てきた、ということになる。それぞれについて、いろんな詩人や評論家があれこれ言っているのを引用するけれど、ざっと見ておけばいい感じ。それが18世紀社会の維持に決定的な影響を持っていた、という感じではない。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第6講:18世紀

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第6講:18世紀の人間の立ち位置 - 山形浩生の「経済のトリセツ」