前回は、毎年定期的に北朝鮮の国民総生産(GDP)を公表している韓国銀行と国連統計局の推計値を紹介し、これらだけではいまひとつ統計に疑問符が付くことを明らかにしました。 今回はこの韓国銀行や国連統計局と違った方法による最近の推計値として2つを紹介します。 まずはソウル大学経済学部のキムビョンヨン教授が、2008年に公表した論文で示した推計値です(注1)。これによれば2007年の一人当たり国民総所得(GNI)は471ドルとされています。キムビョンヨン教授は、北朝鮮の一人当たりGNIを以下の3段階で推計しています。北朝鮮ではGDPとGNIが概ね同額であり、前回同様、北朝鮮に関してはGDPとGNIは同じと見なします。 第1段階は先行研究で示された推計方法で、1954年から2007年における北朝鮮の経済成長率を推計しています。具体的には農業、製造業、サービス業の成長率を推計し、各部門の比重により加重