安倍内閣が掲げる教育改革の目玉のひとつに、少子化対策として子育て世代の負担減を狙った、3-5歳児の幼児教育の無償化の導入をあげることができる。「OECD諸国との教育支出の比較から見る日本の教育課題 https://synodos.jp/education/1356」でも言及したように、教育支出から分析した場合、日本が抱える最大の教育課題のひとつが幼児教育に対する過少投資であることを考えても、これは歓迎されるべき教育政策である。さらに近年先進国・途上国を問わず、小学校に通い始める前の子どもたちに対する教育とケア(以下では議論の便宜上、就学前教育(*1)とする)が教育政策的に重要視されつつあり、これはその国際的な潮流とも一致するものである。 (*1)就学前教育は出生前から小学校入学までを指し、今回無償化の対象とされる幼児教育よりも対象年齢が広い。無償化の対象となる幼児教育は就学前教育の一部分で