私は経済学者として国内外の大学で教鞭をとったりした後、’13~’18年には日本銀行副総裁として金融政策の立案にも携わりました。そこで、感じたのは「経済を知れば、生活はもっと豊かになる」ということ。そのお手伝いができればと思い、『週刊SPA!』で経済のカラクリをわかりやすく発信していきたいと考えました。 かつての日本は「一億総中流」と言われ、先進国の中で大変、平等な国だと考えられていました。しかし、1990年代以降、低成長が続いたため、’00年前後から格差や貧困が大きく取り上げられるようになりました。 OECD(経済開発協力機構)は、所得の不平等の程度を「ジニ係数」という数値で発表しています。ジニ係数とは、所得などの分布の均等度合いを示す指標で、0~1の間の数値で表され、0に近づくほど所得格差は小さくなります。 ジニ係数には当初所得(税・社会保障によって再分配が行われる前の所得)と再分配所得