小さい頃、自分のことは日本人だと思っていた。 自分の声が、他人と自分では違って聞こえるように、肌の色も、自分の色だけ暗く見えるものだと、みんなそういうものなんだと思っていた。 だから、保育園のお絵かきの時間では、なんの疑いもなく、いわゆる肌色で自分の似顔絵を描いた。 でも、「なんでそんなに黒いの?」「色が普通じゃないね」そんな言葉をかけられる内に、自分だけみんなと違うことに、日本人では無いことに気がついた。 何色のクレヨンを使ったらいいのか分からなくなって、お絵かきの時間は毎回生きた心地がしなかった。 小学校に入学すると、髪がボサボサだと笑われた。「実験が失敗した博士みたいだね」と言われて、恥ずかしくなった。 毎日夜になると、頭にタオルや毛布をかぶって、髪に見立ててクシでといていた。 そんなわたしを見かねてか、親は縮毛矯正をさせてくれた。 少し日本人に近づけた気がして嬉しかった。 小学校中