2013年にマーク・ポストとピーター・フェアストラータというオランダ人研究者2人が、世界初の培養肉で作られたハンバーガーを発表した。培養肉でできたパテの値段は33万ドルという高額なものだった。 わざわざ動物の細胞を採取し試験管内で高価な肉を培養する必要があるのかと、いぶかる人もいるであろう。 そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。本書は培養肉を「クリーンミート」と呼び、その開発と商品化に奮闘する企業家たちを軸に、これから起こる可能性がある第2の緑の革命に迫った一冊だ。 第1に認識しなければならないのは、今の畜産業が持続不可能なシステムの上に成り立っているということだ。 畜産業は温室効果ガスの最大の要因であり、森林破壊の原因でもある。自動車産業がいかに燃費に優れた車や電気自動車を開発しても、畜産業が現在の規模で存続する限り、温暖化に歯止めをかけるのは難しい。森林伐採の面でいえば、氷で覆われてい