小さい頃、漫画を読んでいて不思議だったのは「あぶら虫」が時々出てきて、みんな怖がっているらしいことだった。 図鑑でアブラ虫というのを調べると蟻と共生している緑色の小さな虫(アリマキ)である。庭の植物を観察して怖いかどうか見たが、どう考えても怖そうには見えなかった。 あぶら虫というのがゴキブリのことだと知ったのはずいぶん後のことである。 嘘だと思うだろうが、百科事典で調べて「御器かぶり」、つまり漆器などもかじってしまうような虫と書いてあって、3種類のイラストも出ていた。 知らなかったのは当然で、「あぶら虫」というのはゴキブリの東京方言だったのである。 今の人は信じないだろうが、本物のゴキブリを僕は東京に行くまで知らなかった。僕の小さい頃はゴキブリは少なくとも北陸にはいなかった。 北海道の人は分かると思うけど、それだけ地球の温暖化が進んでいることになる。 葉山の姉のアパートに泊まるとゴキブリが