我々人類の脳はおよそ二五〇万年前から一五〇万年前にかけて突如として二倍以上の大きさに急成長した。以下、スティーヴン・オッペンハイマー著「人類の足跡10万年全史」第一章よりまとめ。当時の世界は鮮新世から更新世へと移り変わる過渡期で、気温が急激に下がり、乾燥した氷河期が何度も繰り返し訪れる時代を迎えようとしていた。およそ一万八千年前にピークを迎える最終氷期までの間に石器と大きな脳を持つ最初の人類がアフリカに登場し、様々な種属の人類が登場しては消え去っていきつつ現生人類へとつながっていく。人類学者サラ・エルトンは二五〇万年前から一五〇万年前までの類人猿の頭蓋化石から脳の大きさを計測し、同時期に分岐した六つの種(ホモ・ハビリス、ホモ・ルドルフェンシス、ホモ・エレクトス、ホモ・エルガステル、ホモ・ローデシエンス、パラントロプス)を含むヒト科の二系統ホモ属とパラントロプス属について調査し、その結果、対