タグ

ブックマーク / sugirio.exblog.jp (9)

  • ブラックラボの例 | すぎりおのがんばったるねん

    古巣の研究所のラボの後輩とスカイプ。すごい話を聞いた。 近所のラボの院生がNをはじめ複数論文を出した(すたーをーずでは院生がCNSを出すのは当にカンタン!ポス毒よりはるかにラク)。いざ卒業という時に、PIからストップがかかった。PIいはく「おれはお前に論文をプレゼントした。お前の力でも何でもない」ここまでは納得だけど、それからがすごい。「あと3論文を出すまでは卒業させない。なぜならお前しか使える人材がいないから」。ちょっと意味不明。院生に実力ないと言っておきながら、他にまともなのがいないとか。件の院生はサイエンスを辞める。こうなるとボスの推薦状がクソになるので、ポスドク先探しすら厳しい。アメリカは推薦状天国(地獄?)なので。しかも悪い意味で根回しすることで知られてるPIだし。彼も数年前は「おれはボスを尊敬する」とか言ってたのに。 ブラックラボとして有名なとこなので、こういうエピソードに

    ブラックラボの例 | すぎりおのがんばったるねん
  • アカデミアジョブのワークショップ | すぎりおのがんばったるねん

    GDたちがパネラーのパネルディスカッション。 リクルートコミッティー側からのポイントをいくつか。 ー推薦状。推薦者の知名度は大事。そしてthesis mentorの推薦状は推薦者の知名度に関係なく必須(なければ致命的な減点)。リクルート側はcandidateがどれだけ論文にcontributeしたかを読み取る。コラボの多い論文の場合、candidateが「アイデアの発起人になったか」、「candidateが各人のワークのamalgamationをしっかりしたか」、「candidate人はどんな実験をしたか」を見る。 そういやGDが推薦状を読んでるときはひたすら熟読しながら、何か書き込みまくってる。あれでいろんな情報をスキャンしてるんだろう。 ―チョークトーク。CNS連発、セミナーも数百回の場数のおかげで完璧、そんなcandidateがチョークトークで崖から落ちるてのはよくある光景らしい。

    アカデミアジョブのワークショップ | すぎりおのがんばったるねん
  • Double-Blindピアレビュー | すぎりおのがんばったるねん

    Nature関連誌ではじまった査読システム。従来はレビュアーだけが匿名だった。なのでレビュアーは誰の論文かわかったうえで査読する。 新しい制度では論文の著者や所属欄もエディターの手によって全部消された上でレビュアーに送られて来る。この功罪はこれから出てくるだろう。近所では既に見られてる。ヤリ逃げ的なマニュスクリプトだ。表現しにくいけど。「明らかに怪しいデータ」や「別の査読中の論文パクリました」な論文がdouble-blindでやってきてる。特にすごく競争の激しいエリアでは他人の論文を査読の段階でブロックして、それを骨組みにデータを盛った(ホントに実験したデータかは定かでない)匿名原稿が飛び交う、という仁義なき戦いが加速する。 まともなPIなら評判の悪化を恐れるけど、ちょっとネジのとんじゃったイケイケ系のがやってるような。 名前ばれしてないからヘンな論文でも一発投稿してみよう!受かればもうけ

    Double-Blindピアレビュー | すぎりおのがんばったるねん
  • ヒトphenome | すぎりおのがんばったるねん

    Nature Biotechの論文。これはおもしろい。 オバマの打ち立てたprecision medicineの到来を感じさせる。 要はアメリカ全土での医療活動の記録をきちっと電子化しよう、というだけ。政府が46 billion dolarsを投じたというから、気だろう。 従来の紙記録では保存、転送、アクセス、形式の一般化に問題がある。それを電子化しようという動き。 医療者だけでなく、ここからとれるデータでサイエンティスト側も「後出しジャンケン」ができそうだ。論文でも、データが集まったあとに、myriad questionsをaskできると。従来はquestion-->dataだったけど、それをひっくり返す。 そして、このデータは個体のフェノタイプのomics、つまりヒトphenomeだ。分子と個体のphysiologyの間にある事象の地平線を越えるかもしれない。 下に言いかえて説明する

    ヒトphenome | すぎりおのがんばったるねん
  • Playing God - another one | すぎりおのがんばったるねん

    もし自分のこれまでの記事を「お気に入り」できるなら、今日のを唯一つける。 数か月前にも触れたけど、人為的な進化がけっこう真剣に議論されるようだ。 ヒトの生殖細胞をCRISPRで遺伝子改変する、すなわち改造人間は理論的には可能だけど、倫理的にはできない。 今日のScienceの論文では、CRISPRを更に改良してハエの生殖細胞の遺伝子改変した。原理的にはヒトにも応用できる技術レベルまできている。 健康と科学の将来と倫理を真剣に議論しようということで、NatureとScienceにそれぞれコメントがでている。とくに後者のScienceのものは秀一で、1月にNapaで開かれたこの議題でのミーティングレポートをしている。Science今週号(3月20日)には関連するコメントが2つある。これとこれだ。 これらのコメントによると、ヒトの生殖細胞への応用は当面禁止で、関連する基礎研究の透明化を推すという

    Playing God - another one | すぎりおのがんばったるねん
  • ポリガミー | すぎりおのがんばったるねん

    ラボリトリート2泊3日の旅がおわってボストンにもどってきた。 これは、放牧プレイに不満がある一部のメンバーのガス抜きなんだな。その点、有意義なようだ。 しかしGDラボに来るからには、放牧されて当たり前なのに。 役にたったビジネスポイント。エレベーターピッチの延長でlong termゴールをぶち上げるとき、何とか遺伝子やパスウェイに人生を捧げます、では頑迷さをあたえてしまう。遺伝子のイケてない固有名詞をカッコいい現象名におきかえても、相手が興味を共有してない限り、同じことだ。逆にあまりにブロードな現象だと何も考えてない印象を与える。 とくにここらのPIなんかは5年おきにどんどん分野や対象を変えていくから、「ぶっちゃけ興味なんかないよ。その時の流行りにのっていくよ」が音でも、そのままいうとアホみたいになるので、パラフレーズが要る。 「I am open to new and exciting

    ポリガミー | すぎりおのがんばったるねん
    pseudomeme
    pseudomeme 2015/02/18
    "とくにここらのPIなんかは5年おきにどんどん分野や対象を変えていくから、「ぶっちゃけ興味なんかないよ。その時の流行りにのっていくよ」が本音でも、そのままいうとアホみたいになるので"
  • 新しい基準 | すぎりおのがんばったるねん

    昨日の続き。 尊敬されるサイエンティストというのは新規かつハイインパクトな発見をするかにかかってきたけど、それとは違うアングルでの評価のされ方が巻き起こりつつあるのかもしれない。業界の間違いを正すような仕事も、新規性という意味では何もないけど、十分尊敬に値する。 ふつうはサイエンスの進展にともなって間違い論文は消えていくけど、その自浄スピードがちょっと追いついてない業界もあるようだ。とくに新規性を狙いすぎて言ったもの勝ちになってるような分野では。そういう場合、努めてkeeping record straightな態度やeffortが求められる。それも一つのラボにおさまらない、複数のラボのeffortで。 この業界でも有名なある再現性の乏しいPIが良くいう格言に「世界で2番目に高い山の名前など誰も知らない。一番でなければ意味がない」とあるそうだが、そういう超競争スピリットがこんな現状を生み出

    新しい基準 | すぎりおのがんばったるねん
    pseudomeme
    pseudomeme 2015/02/18
    "尊敬されるサイエンティストというのは新規かつハイインパクトな発見をするかにかかってきたけど、それとは違うアングルでの評価のされ方が巻き起こりつつあるのかもしれない"
  • ネットワーキングのセミナー | すぎりおのがんばったるねん

    今日はネットワーキングについてのポスドク用セミナー。 ポイントを書く。 ・elevator pitchという、15秒―30秒以内に自己紹介するスキルを磨く。 たとえば自分の場合、 My name is すぎりお, I am a postdoctoral fellow at Harvard Medical School. I am working on stem cell engineering to make blood cell. The aim of my study is to innovate blood transfusion. 相手がステムくさければ、まず所属ラボの名前をいえばいい。これはGDラボの利点ではある。 ・ポスターセッションでは、サイエンスの内容だけでなく、「どこどこのラボのやつと知り合いになる」とか「(企業に行きたい場合は)展示ブースで名刺交換する」というモチベーシ

    ネットワーキングのセミナー | すぎりおのがんばったるねん
  • どこでもスーパーエンハンサー | すぎりおのがんばったるねん

    最近はsuper enhancerネタがどこでも出てくるようで、Scienceの論文。oncogenic super enhancerというのか。白血病(T-ALL)のTAL1というoncogeneのenhancerに変異が入って、新たにMYBが結合するようになる。その結果、白血病に関連する転写因子たちがどんどんリクルートされてきて、super enhancer(=バリバリ転写がおこる)となる。なのでTAL1 oncogeneが過剰に転写されるというストーリー。 そしてCRISPRでTAL1 enhancerの変異をdeleteしてやると、super enhancer化がなくなってTAL1の発言が落ちる。そして白血病細胞株Jurkatの生存が極端に下がる(データは示さず)。細胞がどうなったかというのは文にちょろっと書いてるだけなので、ぶっちゃけこの論文的にはどうでもいいことなんだろう。

    どこでもスーパーエンハンサー | すぎりおのがんばったるねん
  • 1