ブラジルの、そして南米サッカーの持つ神話を過去の物にしたのは、ドイツが体現した完全な合理主義だった。サッカーの歴史はどこへ向かうのだろうか。 リオのアパートで朝の4時まで原稿を書き、そのまま空港へタクシーで移動。機内でわずかな仮眠を取り、スタジアムに直行して取材を終えると、再び飛行機にとび乗って夜の10時に戻ってくる。 こんな生活を1カ月も続けていると、さすがに体も心もリズムが狂ってしまう。日本に帰ってきてからも、クラプトンの古いブルースのアルバムを聴きながらスコッチを舐めないと、寝付けなくなってしまった。 それでもブラジル大会の記憶は、今も鮮明に脳裏に焼き付いている。特に強烈なのは、ベロオリゾンチでドイツがブラジルを7-1で下した試合だ。 この一戦は「衝撃」や「歴史的大敗」という見出しとともに、世界中で報じられた。W杯史上、ブラジルがかくも完膚なきまでに敗れたことはないし、準決勝で6点差