◇当事者ら、ネットで発信/自助グループ設立も 大学病院のベッドで目覚めると、20人ほどの医学生に囲まれていた。医師が「この人の症状は……」と説明を始め、学生たちはチラチラと自分を見ながらメモを取り、気遣う言葉もなく立ち去った。 青森県むつ市の角本沙織さん(25)は性分化疾患の一種「先天性膣(ちつ)欠損症」だ。高校3年の夏、初潮が来ないため産婦人科で検査を受けて分かった。 自宅から離れた大学病院で膣の形成手術を受けた。「珍しい症例なので記録を残したい」と言われ、「他の患者の役に立つなら」と受け入れた。だが、あまり年齢が違わない学生たちの視線は耐え難かった。「自分はモルモットじゃない」。ベッドのカーテンを引き、声を殺して泣いた。 体外受精で帝王切開すれば出産は可能だが、子宮や卵巣の発達が不十分なためリスクを伴うと説明された。病棟の産科から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。わが子を抱く母親に自分と