◇自力で解決できぬ苦悩 理解を 病院で検査を受け異常がなかった時、「よかった」と思えないのはどんな時だろう。流産や死産を繰り返す「不育症」患者にとって、異常がないことは「治療の手立てがない」という残酷な意味を持つ。 子供を持つことをテーマにした連載企画「こうのとり追って」の第3部(8月23~31日)で、不育症を取り上げた。取材を通して改めて感じたのは、命とは人の手が及ばないものであり、だからこそ患者には心の支えが必要ということだ。少しでも多くの人が不育症を知ることから、「支え」の裾野は広がると思う。 ◇65%が原因不明 治療法がない残酷 不育症は、妊娠することが難しい「不妊症」と混同されがちだ。厚生労働省研究班の報告では、妊娠経験がある女性の4.2%に起き、年間3万人が発症すると推定される。胎児への血流が妨げられる血液凝固異常や子宮の形態異常など原因があるのは少数派で、65.3%が「原因不