率直なところ、あまり多くの人に勧められる本ではないのかもしれないが、私には面白く、そして考えさせられることの多い本だった。「沿海州・サハリン近い昔の話―翻弄された朝鮮人の歴史」(アナトーリー・T・クージン)である。 内容は、沿海州及びサハリンにおける朝鮮人の近代史についてだ。文章は紀要か修論でも読んでいるような大味な感じなのだが、この問題に関心をもつ私などには面白い事柄に満ちていた。構成は沿海州とサハリンの二部に分かれている。 ロシア極東の朝鮮人 1862~1937年(移住の始まり/法的問題/文化の発展 ほか) サハリンの朝鮮人 1870~1992年(サハリン人として生きて/強制移住と弾圧 ほか) 率直なところ、出版社名(凱風社)やあおり文を読むと、うへぇまた左翼史観ですかという気にもなる。が、事実は事実だ。特に、日本が戦前行ったこの蛮行を覆うことはできない。 ロシア極東の朝鮮人が、どのよ