うちの連合いが医師から癌宣告を受け、今後の治療スケジュールを聞かされて帰ってきた日の話である。 「で、治療はいつから?」 と訊くわたしに連合いは答えた。 「治療は再来週からなんだが、その前にハマースミスの病院に3回行かなきゃいけない」 「何で?ロンドンでしかできない検査があるの?」 「いや、そうじゃないんだけど・・・」 と言って連合いは口元を緩めてにやにやしたり、急にきりっとすぼめたりしている。 「じゃあ、何でロンドンくんだりまで行かなきゃなんないの?」 「いや、それが・・・」 でれでれしている連合いにわたしは言った。 「何なのよ、気持ち悪い」 「いや、それがハマースミスの病院で精子を冷凍保存してもらえって言われちゃってさ」 「へ?」 「化学療法を受けると、精子が使い物にならなくなっちゃうから」 「けど、わたしはもう子供産まないよ、この歳で」 わたしがそう言うと、連合いは照れなのか何なのか
ちまたにたくさんあるマンガの作画指南ではなく、作画以前のストーリー作りに絞った漫画家入門の本。1本のマンガを描きあげるまでにプロはここまで知恵を絞って考えている、というドキュメンタリー的な側面もあって非常に興味深かい。よく出来たマンガというものは読者がまったく気づかないようなところまでものすごい気を使われて描かれているのだなあ。双葉社のWEBマガジンに連載されてたときは作例がついてなかったのでちょっと読みづらく感じてたのだが、書籍化にあたって、作例として筆者・山本おさむと高橋留美子の短編が1本づつ掲載され、しかもヒモのしおりが3本もつくという超親切設計になってたのがよかった。本人の作例については、自分で考えたことを思いだしながら説明してるわけだが、高橋留美子の作例についてはあくまで推測と技術批評で書かれている。ストーリー作りのテクニックに絞ったマンガの技術批評なんて、なかなか読めるものでは
ホーム > > EXHIBITION : 2008年12月19日〜2009年 2月1日 タナカカツキ「炎の画家タナカカツキの生涯〜わだはガッポになる」 タナカカツキ「炎の画家タナカカツキの生涯〜わだはガッポになる」 それは一種の風景画 私たちは花や昆虫など、自然界に存在するシンメトリーやグラデーション、模様や質感を美しいと思う。美術はその美しさを抽出することから始まった。そして現在、科学技術の進歩は表現の幅を広げ、新しい芸術を生み出した。特に近年のめまぐるしい技術の発展はタナカカツキの制作意欲を益々掻き立てる事となる。 幼少の頃、自然界に美しさを憶えたタナカカツキは、今回の制作を通し「自分は何を美しいと思っているのか」と自問に対峙し、一種の風景画を制作。難しいことを考えず、自然と接するような感覚で楽めるこれらの作品は、私たちの心にダイレクトに感動を与える。 本展では100号のキャン
奈良県三郷町の会場で11日に実施された2008年度の第2回一般用医薬品登録販売者試験で、置き薬販売業の男性(54)=大阪府豊中市=が息子(20)の替え玉として受験していたと、同県が13日、発表した。男性はパーマを掛けて臨んだが、会場で試験官に見破られた。 男性は息子に内緒で受験の申し込みをしており、「(男性の会社に勤めている)息子に資格を取らせたかった」と話しているという。 【関連ニュース】 ・ 国家試験で替え玉受験=資格学校責任者ら逮捕 ・ 高卒認定、合格データ消失=316人分修復へ ・ 入試結果操作で不合格=暴力事件で退学、再受験の生徒 ・ 179人が合格=国家公務員の再チャレンジ試験 ・ 元指揮者を起訴=裏口入学持ち掛け現金詐取
モード界の今年一番の悲しみは「イヴ・サン・ローラン氏の死」だったのでは無いでしょうか。6月1日、本格的な夏が訪れる前にサン・ローラン氏は71年の人生に幕を下ろしました。その4日後にパリで執り行われた葬儀に、サルコジ大統領夫妻や旧友カトリーヌ・ドヌーブを含む、800人もの各界著名人が参列した様子は、TVやインターネットのニュースでも配信され、翌月号のファッション誌はこぞって追悼特集を汲んで、彼の偉大なる功績を忍んでいたのをガーリン読者なら目にしたことと存じます。 「イヴ・サン・ローラン」は、皆様もご存知のように、1962年の創立より引退の2002年までの40年間を経て、フランスが誇るクチュリエのひとつになりました。60年代と言えば革命的なモードの草創期ではありますが、意外に「モード」がアタシ達の生活に近づいて来た歴史は浅く、「モード系」なんていう個人のスタイルをカテゴリー化する呼び名が大衆
Les Miladys / Les Miladys (LP) Les Miladys アーティスト: Les Miladys,レ・ミラディスメディア: CDこの商品を含むブログ (1件) を見る カナディアン・フレンチな3人組の女の子グループ。1968年にリリースされたファースト・アルバム。 60'sガール・ポップな音楽が基本ではあるんですけど、イエイエな雰囲気がにじみ出ていたり、ソフト・ロッキンなアレンジが施してあったりと、なかなか面白い楽曲が続きます。 3人ともちょっと舌足らずなヘタウマ・キュートな歌声で、1人ずつだとキンキン響きそうな声が3人でハーモニーを奏でると不思議と美しく聴こえてきます。 ジャケもキュートで好し。 オープニングの『Sugar Town』は、ナンシー・シナトラのカヴァー。呑気な空気感がとても素敵なガール・ポップ。 『C'est Bon La Vie』は、サイモン&
あけましておめでとうございます。6時半からごはん。お雑煮は昆布だし、具は鶏肉 大根 人参 生椎茸 三つ葉 仕上げにイクラとへぎ柚子をのせます。おばあちゃんお作るお雑煮のほうがおいしいのだけれど、元旦の朝のお雑煮は自分がいつも作ります。金柑の蜜煮にオレンジキュラソーを入れたらおいしくできました。栗きんとんにラム酒を入れて寒天で固めで水菓子っぽくしてみました。手毬寿司は、自分の大好きな小鯛の笹漬けで作りたかったのだけど。手に入れられなかったのでコハダの粟漬。蕎麦寿司は、昨日の年越し蕎麦の残りで巻きました。黒豆 白豆きんとん 田作り こぶ巻き おばあちゃんが作ってくれましたゆず釜に入れるとなんでもお宝っぽく見える伊勢海老や角煮はあると豪華だけれど 食べ疲れるのか、みんなあんまり箸が伸びませんとこぶしの梅酒煮 スモークサーモンの大根巻き 煮なます ライチ あと鴨の燻製とかスーパーで売ってたおせち惣
建築, 作り話, 作りもの日本には伊東豊雄という建築家がいるのですが,その人が表参道につくった「TOD's表参道ビル」という建物があります.↑TOD's表参道ビルぼくはこの建物,とてもカッコイイと思うのですが,カッコイイと思うだけでは進歩がない.気鋭の先進的建築家のぼくは,実際にこれを作ってみようと思いました.現在,うちの大学で全宇宙コンクリートビーム(梁)選手権*1 *2が開催中なので,自分達で型枠を製作し,選手権で余ったセメントを分けてもらい,TOD's表参道ビルの立面を製作しました.長辺を40cmに固定し,東西南北で4面ある立面を展開して1面にまとめたものを製作します.型枠型枠はスチレンボードという,発泡スチロールに紙が貼り付けてあるような板と,アクリル板で製作します.しかし,貧乏学生で奨学金という名の借金があり,クレジットカードの支払も大変であるぼくは,アクリル板を買えなかったので
渋谷駅前の交差点、路上に設置されたスピーカーから流れてくるのは、いくぶん抑揚に欠けた男性の声で、その声は「キリストを呼び求める人は救われます」と何度も繰り返していた。たくさんの通行人が行き交う年末の渋谷。強風で、外は寒い。信号待ちをしながら、わたしはふと気がついた。「キリストは罪を赦し、永遠の命を与える」──そう書かれた看板を持って立っていたのは、小学校五年生くらいのちいさな女の子だった。 われわれは親を選択することができない。どのような親のもとに生まれるのかを選び取ることができない。両親は、彼らにとって「善きこと」を子どもに伝えようとするし、そこにはそれぞれの親の価値観が大きく関係してくる。それはときに宗教であったり、ある種の思想であったりもする。親は「善きこと」を子どもに伝える。それはあたりまえのことで、他人があれこれと口をだす問題ではないのだとおもう。 両手でしっかりと看板を支えなが
いよいよ後編。ここまでくると、読んだ時の印象とかあらすじをまあまあ覚えてる本が多いので、だんだん文章が長くなってきました! 『奇蹟』 中上健次 前に書いた感想 http://d.hatena.ne.jp/ayakomiyamoto/20080712#p2 『岬』『枯木灘』といった「秋幸サーガ」と同じく、舞台は紀州・新宮の路地。「高貴で穢れた」中本の血を引く青年タイチの短く激しい生が、極楽のような地獄のような路地の終焉と重ねあわせて語られます。 私は子どもの頃は郊外の住宅地育ちだったし、途中で引越しもしたし、町内会の行事はなるたけサボりたいしで、生まれ育った土地に強烈な磁力でひきつけられるようなそういう土着的な感覚は根っこのところで持ってないように思うんだけど、逆に自分に持ち合わせないものだからこそ中上健次が書くような世界にひきつけられる所があるのかもしれません。中上健次は一冊読むと何冊も続
家で原稿が書けない。 という自分の短所に気づいて、最近は図書館やファミレスや喫茶店をさまよう日々だ。(近所のファミレス「ガスト」&「ココス」。いつもヌシみたいに長時間いて、ごめんなさい) ドリンクバーのコーヒーを馬のように飲み干しつつ、カタカタと原稿を書く毎日だが、ふと顔をあげるとそこにはある常連が来ている。50歳ぐらいの夫婦で、夜になると南陽市のどこかの店で毎日のようにお茶を飲んでいる。昨日は「ミスタードーナッツ」にいた。たぶんあっちも「またノートパソコンの男がいる……」と思っているかもしれない。昨日も会ったが、まさか今日は「ガスト」で会うとは。まあ夜の南陽市でゆっくりお茶ができる場所といったら3つしかないんだけど。 ちょっと驚いたが、本当に驚かされるのは毎日夫婦でお茶を飲みにくるその習慣だろう。たぶん酒を飲まないのだろう。まったく会話がとぎれる様子もなく、落ちついた調子でずっとなにかを
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