2023年4月に施行された改正博物館法では、博物館の事業として資料のデジタルアーカイブ化が明記されたが、予算や人員体制などの理由でデジタルアーカイブ化が進んでいない施設も多い。そこで本シンポジウムでは、様々な角度から博物館デジタルアーカイブの「現在地」を確認するとともに、デジタルアーカイブの推進に向けた検討を始めたい。 第1回となる今回は、まず文化庁の博物館支援調査官が、ミュージアムDXをめぐる現在の政策動向を解説する。続いて、自治体の取り組みとして、国の交付金を活用して実質半年でデジタルミュージアムを創設し、高精細・3D・VRコンテンツの充実を図った小田原市の事例を紹介する。さらに、少子高齢化が進む中、博物館資料(縄文石棒)のSNSでの発信や、市民との資料撮影、オープンデータ化などを通じて関係人口を創出し、入館者を3倍増に、3Dデータの閲覧数を入館者数の50倍にした飛騨市の事例を紹介する