「ひとのことモノじゃなくてひととして見ろ」。これは、小説集『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(大前粟生著・河出書房新社)に書かれた一文です。 表題作「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の主人公・大学生の七森つよしは、周囲の男性が女性を「68点くらい?」「ブスやん」「まあまあやろ」とか「ワンチャンあるかも」と品定めしていることに対し、「ひとのことモノじゃなくてひととして見ろ」と強い嫌悪感を抱いています。 「ひとのことを、ひとではなくモノとして見る」とは? 「ひとのことを、ひとではなくモノとして見る」とはどういったことでしょうか? 上記の文脈では、「外見を勝手にジャッジして、点数化する」「ワンチャンという言葉で表現して、相手をセックスできるかできないかで判断する」ことが、「モノとして見ている」と表現されています。 「モノとして見る」とは、相手の人格や主体性を無視して、(性的)対象物として値踏