中国海警局の巡視船。海警法の施行により、その法的位置づけに懸念が生じている。巡視船なのか、軍艦なのか(写真:ロイター/アフロ) 国際関係や安全保障の専門家が台湾有事について頻繁に言及するようになった。それはなぜなのか。中国の安全保障政策に詳しい小原凡司・笹川平和財団上級研究員は3つの背景があるとみる。中国による台湾武力統一は現実となるのか。「冷武統」という新たなキーワードが登場した。注目すべきは、南シナ海に位置する太平島に向けた中国の動きだ。 今日は台湾有事について、おうかがいします。最近、国際関係や安全保障の専門家と話をすると、必ずこの話題が登場します。なぜいま台湾有事なのでしょうか。 小原:大きく3つの背景があると考えます。第1は、2017年に、米国にトランプ政権が誕生したこと。ドナルド・トランプ大統領(当時)が台湾防衛への関与を強める意向を鮮明にしたからです。それまでは、中国国内で武