いまこそ読みたい。アート・ブック10選新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間も多い昨今。そこで、この機会にぜひ読んでおきたい美術書10冊をピックアップ。比較的手に入りやすい2010年以降の本をセレクトしてお届けする。 文=中島水緒(美術批評) 『アート・パワー』(ボリス・グロイス著、現代企画室、2017年) 出典=Amazon.co.jpより 美術批評の最前線を読む1『アート・パワー』ボリス・グロイス著、石田圭子、齋木克裕、三本松倫代、角尾宣信訳(現代企画室、2017) 「アートとは何か」という問いが袋小路に陥り、作品の自律性がもはや信じられなくなった現在、芸術はなお「パワー」を有していると言えるだろうか? 国際的に活躍する美術批評家のボリス・グロイスによれば、あらゆるヒエラルキーを撤廃した「美学的平等性」のもとでこそ芸術の自律性は可能となり、文化的、社会的、政治的な問題に抗することが