ネット界隈で炎上源のひとつである、あるフェミニスト社会学者が根拠不明の暗黙の前提に無自覚で議論を展開しているのが以前から気になっていた。ジェンダー論とエスノメソドロジーが御専門だが、ジェンダー論の方はお気持ちポエムの粋を出ない混沌とした主張がよく観察されている*1。エスノメソドロジーの方は大丈夫なのであろうか気になって、『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』を拝読してみた。複数の著者による独立したエッセイ集だが、どういう使い道があるのか雰囲気を掴むことができ、初学者向けの本として文献ガイドも充実している。 エスノメソドロジーの代表とされる会話分析の論文を拝読した事があるので、エスノメソドロジーがどういうモノかはだいたい想像の範囲だった。社会学者はエスノメソドロジーが何であるか簡潔に説明したがらないのだが、社会生活を営む上で人々がやり取りで従う手続きやその手続きが発生する頻度を整理・分析する