1本に見える蚊の針ですが、実は6本もの針がひとつの筒の中に収められています。 血を吸うための尖ったストロー状の針1本、針から血が漏れないように両側からフタをするための針2本、かゆみ成分を含む血を固まりづらくする液を出す針1本、そして、2本のギザギザしたノコギリ状の針。 刺されても痛くない秘密はこれらの針の構造と動きにあります。 蚊はストロー状の針と2本のノコギリ状の針を微細に上下に振動させながら皮膚をサクサクと切り裂き、針全体を皮膚の中に差しこんでいきます。 この6本の針束は、直径約80μmと髪の毛1本分の細さしかなく、皮膚の痛点を避けることができるため痛さを感じないのです。 最近、この蚊の針をヒントに痛みの少ない注射針が開発されました。 この針は液を注入する針と2本のノコギリ状の針の計3本からなり、蚊の刺し方をマネた微細上下運動で刺すことにより痛さをやわらげることが可能になったのです。