安倍首相は誰に「謝罪」したのか? 5月4日、安倍首相は、緊急事態宣言の延長の決断を「断腸の思い」と表現し、この事態に至ったことをお詫びすると述べた。首相は、負担をかける国民に謝罪した。同時に、不十分な結果しか出せなかったことを、「専門家」の西浦博教授に謝罪したのだろう。 西浦モデルでは、1カ月で終息にまで持っていく道筋がつくはずだった。私からすれば、4月中旬以降の日本の新規感染者数の減少は、国際的に見て、劇的だ。しかし、西浦モデルから見れば、「期待外れ」で「不十分な」ものでしかない。首相は、国民を代表して、「専門家」西浦教授に目標不達成を謝罪したのだ。 もともと4月7日の緊急事態宣言発出の際に、安倍首相は1か月で終息させるかのような発言まではしていなかった。むしろ「医療崩壊を防ぐ」という実際的な目標を掲げていた。しかし緊急事態宣言の運用過程の中で、西浦モデルに従った緊急事態宣言の理解がマス