百円札を燃やし「どうだ明るくなったろう」と話す第1次世界大戦後の成り金紳士の風刺漫画で知られる和田邦坊(1899~1992)。出身地に近い香川県善通寺市の灸まん美術館(和田邦坊画業館)では、その多彩な顔を伝える企画展が開催中だ。学芸員で、研究の第一人者でもある西谷美紀さんに魅力を聞いた。 ――邦坊は時事漫画家、小説家、デザイナー、画家として活躍したマルチクリエーターでした。研究のきっかけは 邦坊さんが初代館長を務めた高松市・栗林公園内の讃岐民芸館で勤務した時、カッパが飛び出すような絵が描かれた焼きものに出会いました。なんだこれはと調べると彼の作品でした。 邦坊さんは香川の土産物のパッケージデザインを多く手がけていますが、地元でも名前はあまり知られていません。これはもったいないと、出身の琴平町などでゆかりの人たちへの聞き取りを始めました。別の博物館に移ってからも個人で研究を続け、2017年に