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内田樹の検索結果1 - 4 件 / 4件

  • 日本の現状と危機について - 内田樹の研究室

    『建設労働のひろば』という変わった媒体から寄稿を頼まれた。12000字という字数要請だったので、あちこちに脇道に入り込んで無駄話をすることになった。たまにはそういうのも許して欲しい。 寄稿依頼の趣旨は「劣化する民主主義、広がる格差、極まる『自分ファースト」、戦争が終わらない世界情勢など、国民が直面する危機的な日本の現状とその要因について、また(ほんの少しでも)希望について語っていただけないでしょうか」というものだった。 同じようなことをよく訊かれる。だから、答えもだいたいいつも同じである。だから、以下の文章を読まれた方が「これ、前にどこかで読んだことがあるぞ」と思っても当然である。でも、それを「二重投稿だ」と咎められても困る。「現実をどう見ますか」という問いにそのつど新しい答えを出せるはずがない。いつもの話である。 長く生きてきてわかったことの一つは、歴史は一本道を進むわけではなく、ダッチ

    • 村上春樹の文章よりも「村上春樹の長編はキモいけど嫌いじゃないよ。短編の「納屋を焼く」は好きだよ」とか真顔で言う人のほうが生理的に無理…… - 頭の上にミカンをのせる

      togetter.com 私は、村上春樹はあまり読んでない。 「ノルウェイの森」や「海辺のカフカ」は読み始めたけど途中で読むのをやめた。 「神の子どもたちはみな踊る」は最後まで、あと「1Q84」は2巻まで一気に読んだ。 当時はとてもおもしろいと感じたが、今はどういう話だったか全く覚えていない。 読んでいるときは理解できているつもりだったが、実際は全く理解できなかったのだと思う。 「羊をめぐる冒険」「回転木馬のデッド・ヒート」「パン屋再襲撃」が好きで「約束された場所で―underground 2」「アンダーグラウンド」などが好きだ。 あとはこの本を読んでみたくらいか。 謎とき 村上春樹 (光文社新書) 作者:石原 千秋光文社Amazon ご覧の通り、ほっとんど読んでない。 そして、さらに残念なことに小説の内部でなにが語られているのか特に頑張って解釈しようとしたこともない。 なので、ぜんぜんわ

        村上春樹の文章よりも「村上春樹の長編はキモいけど嫌いじゃないよ。短編の「納屋を焼く」は好きだよ」とか真顔で言う人のほうが生理的に無理…… - 頭の上にミカンをのせる
      • ヤニス・バルファキス『テクノ封建制』書評 - 内田樹の研究室

        世の中にはお金の話になるといきなり頭の回転がよくなる人と、そうでない人がいる。私は足し算の時でも「円」がつくと、たちまち計数能力が低下するという「経済に弱い人」である。だから、経済の本は読んで「理解できた」と思ったことがない。『資本論』も数式が出てくる頁は全部飛ばして、「資本の原初的蓄積」から読み出したくらいである。そんな私でもこの本はすらすらと最後まで読めた。 著者バルファキスは2015年のギリシャの経済危機の時に財務大臣を務めた財政の専門家である。貨幣や金融の本質を熟知している人が非専門家にもわかるように、ほんとうに噛んで含めるように資本主義の次のフェーズであるテクノ封建制の実相を明らかにしている。まことに親切な本である。私は親切な人の話は信用する。 どなたも「ビッグテック」のことはご存じだろう。「資本主義から抜け出してまったくあたらしい支配階級になる力」(79頁)を手に入れた超富裕層

        • オウム真理教と師の話 - 内田樹の研究室

          オウム真理教の地下鉄サリン事件から30年経つ。ある放送局がそのための特番を制作したいというので、私のところにインタビューに来た。 私は事件当時、阪神の震災で被災して、住む家を失って体育館で暮らし、被害の大きかった大学での土木作業に日々を過ごしていたせいで新聞もテレビもろくに見ていなかった。だから、サリン事件の報道も「次々とひどいことが起きる。末世なのか」というような漠然とした受け止め方しかできなかった。ただ、オウム真理教は日本人の宗教的な未成熟が生み出したものであり、日本社会そのものを培地として育った「鬼胎」であることについては確信があった。 事件が起きる前までテレビや出版メディアは麻原彰晃を繰り返し取り上げていた。内心では「胡散臭い」と感じながら、素材としては「面白い」から、それを利用しているつもりの人がたくさんいたのだろう。それに、吉本隆明のような見識のある人が麻原を稀有の宗教家だとし

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