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内田樹の検索結果1 - 6 件 / 6件

  • 日本の現状と危機について - 内田樹の研究室

    『建設労働のひろば』という変わった媒体から寄稿を頼まれた。12000字という字数要請だったので、あちこちに脇道に入り込んで無駄話をすることになった。たまにはそういうのも許して欲しい。 寄稿依頼の趣旨は「劣化する民主主義、広がる格差、極まる『自分ファースト」、戦争が終わらない世界情勢など、国民が直面する危機的な日本の現状とその要因について、また(ほんの少しでも)希望について語っていただけないでしょうか」というものだった。 同じようなことをよく訊かれる。だから、答えもだいたいいつも同じである。だから、以下の文章を読まれた方が「これ、前にどこかで読んだことがあるぞ」と思っても当然である。でも、それを「二重投稿だ」と咎められても困る。「現実をどう見ますか」という問いにそのつど新しい答えを出せるはずがない。いつもの話である。 長く生きてきてわかったことの一つは、歴史は一本道を進むわけではなく、ダッチ

    • トランプとフェデラリスト - 内田樹の研究室

      トランプ大統領の連邦政府攻撃と関税外交で米国は深い混乱のうちにある。どうして大統領自身が行政府の弱体化を目指すのか、意味がわからないという人が多い。わからないと思う。ふつう独裁をめざす政治家は行政府の権限を強大化するものだからである。でも、トランプは逆に連邦政府機関の弱体化を進めている。なぜか。トランプを建国時点での反連邦派(アンチ・フェデラリスト)の何度目かのアヴァターだと見立てると、少し理解が進むと思う。 13州が同盟して英国からの独立戦争を戦った時、暫定的な「同盟」はあったが、連邦政府はまだなかった。独立宣言から合衆国憲法制定まで11年かかったのは、連邦政府にどれくらい権限を付与するかについて国民の間で合意が成り立たなかったからである。 「州(ステイト)」にはそれぞれ政府があり、議会があり、憲法があった。連邦政府はそれらの「ステイト」のゆるやかな連合体なのか、それとも「ステイト」の上

      • トランプのロールモデル - 内田樹の研究室

        トランプの世界戦略は何かをよく訊かれる。果たして「戦略」と呼べるようなスケールの構想が彼の脳裏に存在するのかどうか、私には分からない。ただ、トランプがMake America Great Again と呼号していたときの「再帰する先」がどこかは見当がついた。ウィリアム・マッキンリーとセオドア・ルーズベルトが大統領をしていた時代、すなわち1897年から1909年までの米国である。 マッキンリーは米西戦争でスペインの植民地だったプエルトリコ、グアム、フィリピンを併合し、キューバを保護国化し、ハワイ共和国を併合した。米国が露骨な帝国主義的な領土拡大をした時期の大統領である。そして、保護貿易主義を掲げ、外国製品に対して57%という史上最高の関税率をかけたことで歴史に名を遺した。ルーズベルトは「穏やかに話し、大きな棒を担ぐ」「棍棒外交」で知られているが、日露戦争を調停したこと(この功績でルーズベルト

        • 「属国か日韓同盟か永世中立か 日本はどう生きるか」内田樹 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)

          哲学者 内田樹 この記事の写真をすべて見る 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 【写真特集】大物がズラリ!AERA表紙フォトギャラリーはこちら 世界が帝国に分割された時、日本はどう生きるかという話をしていた。今回はその結び。 選択肢はいくつかある。一つは米中いずれかの帝国の辺境の属国として宗主国に「朝貢」して生き延びる道である。 日本は戦後80年米国の属国として生きてきたから属国民マインドは日本の政治家たち外交官たちに深く内面化している。だから、米帝国の西の辺境として生きるのを止めて、中華帝国の東の辺境となる道を選ぶことに日本人はそれほどシリアスな心理的抵抗を感じないだろうと私は思う。「親魏倭王」に任ぜられた卑弥呼から「日本国王」足利将軍、「日本国大君」徳川将軍に至るまで、日本の支配者たちは中華皇帝から形式的

            「属国か日韓同盟か永世中立か 日本はどう生きるか」内田樹 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)
          • だから新聞離れが止まらない…10日間「隅から隅まで新聞を読んだ」大学教授が気づいた日本の報道の決定的問題(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

            新聞の購読者数が激減している。何が原因なのか。神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんは「10日ほど入院している間、新聞を隅から隅まで読んだ。そして深い吐息をついた。これでは購読者がいなくなって当然だと思った」という――。 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、内田樹『沈む祖国を救うには』(マガジンハウス新書)の一部を再編集したものです。 ■文脈のない速報記事では今起きていることはわからない 10日ほど入院していた。部屋にはテレビがあったが、テレビを観る習慣がないので一度もつけなかった。新聞は朝夕部屋に届けられた。暇なのでこれは隅から隅まで読んだ。そして深い吐息をついた。なんと無内容なのか。日本有数の全国紙なのに、一つとして再読したくなる記事がなかった。 たしかに何が起きたのかは伝えられている。けれども、その出来事が「何を意味するのか」についてはみごとに何も書かれていない。いや、昨日今日の間に生じ

              だから新聞離れが止まらない…10日間「隅から隅まで新聞を読んだ」大学教授が気づいた日本の報道の決定的問題(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
            • 『日本型コミューン主義の擁護と顕彰 権藤成卿の人と思想』はじめに - 内田樹の研究室

              『月刊日本』から、権藤成卿の『君民共治論』が復刻されることになったので、その「解説」を書いて欲しいという不思議なオファーを受けた。「不思議」だと思った理由は二つあって、「どうして今ごろになって権藤成卿を復刻するのか?」ということと、「どうして私にそんな仕事を頼むのか?」ということであった。 後の方の理由は何となくわかった。おそらく担当編集者の杉原悠人君が何度か私の書斎を訪れているうちに、書架に権藤成卿や頭山満や内田良平や北一輝や大川周明の本や研究書が並んでいるのを見て、日本の右翼思想に興味がある人だと思ったのだろう。この推理は正しい。 私はこれまで日本の右翼思想についてまとまったものを書いたことがない。だから、ふつうの人は私の興味がそこにあることを知らない。でも、書斎を訪れた人は本の背表紙を見て、私の興味の布置を窺い知ることができる。明治の思想家たちについての書物は私の書架の一番近く、手が

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