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内田樹の検索結果1 - 11 件 / 11件

  • 今中高生に伝えたいこと。進路について - 内田樹の研究室

    「今、中高生に何を伝えたいこと。進路について」というお題を頂きました。 でも、進路について僕から皆さんに特に伝えたいことはないんです。「好きにすればいい」という一言でおしまいです。無責任に聴こえるかも知れませんが、「好きにする」のって結構大変なんですよ。 だって、みなさんが「これから好きに生きたい」と言って進路の希望を述べたら、たぶんおおかたの親御さんは「ダメ」と言うはずだからです。「世の中、そんなに甘くないぞ」とか「好きなことをして食っていけると思っているのか」とか「嫌なことを我慢するから給料がもらえるんだぞ」とか、いろいろ。 もちろん、そんな親のダメ出しに対してはびくともせずに「いいえ、好きにさせてもらいます」と好きにするのが正しい子どもの生き方です。これは僕が保証します。 でも、好きに生きたら必ず成功するというわけではありません(そんなはずがない)。好きに生きてもしばしば失敗します。

    • 虚無の政治力学 - 内田樹の研究室

      総裁選中は現行の「健康保険証」と「マイナ保険証」について問われて、「併用も選択肢として当然ある」と答えていた石破茂氏だったが、政権が発足すると同時に、健康保険証を12月2日に廃止して、マイナンバーカードに原則一本化する政府方針を「堅持する」とアジェンダを覆した。 多くの人がこの食言を咎めている。 でも、よく考えると、間尺に合わない話である。自民党総裁選は「内輪のパーティ」の話であって、総裁になるためには別に「国民に受けるアジェンダ」を掲げる必要はなかったのである。ではなぜ一瞬だけ期待させておいて、また失望させるような「余計なこと」をしたのか。 健康保険証の廃止に対しては医療現場も利用者も反対している。早期導入を求めているのは霞が関と財界だけで、これを争点化すれば総選挙で票を減らすことはあっても増やすことはない。ご祝儀で支持率が高いうちに総選挙という知恵が働くなら、「健康保険証廃止は延期」に

      • 理想の民主政 - 内田樹の研究室

        総選挙が終わり、長きにわたって続いた「自民一強」時代が終わった。この選挙結果はこれからの日本にどんな変化をもたらすのだろうか。とりあえず私たちが慣れ切っていた重要法案の「強行採決」というものがなくなる。国の方向を決めるような政策が十分な国会審議抜きに「閣議決定」だけで決まるということもなくなる。これは空洞化していた日本の民主政にとっては喜ばしい事態である。 久しく人々は「一強」体制を好ましいものだと思っていた。他党との交渉や妥協なしに、与党がやりたいようにやるのはよいことだと思っていた。というのは、世の中というのはおおむね「そういうもの」だったからだ。 株式会社というのは間違いなくそうだ。経営者が発令する指示に部下が「それ、おかしいですよ」と抗命するということはない(したら業務命令違反である)。トップの指示が末端まで遅滞なく示達されて、かたちになる。それを見慣れた人たちは「国というのも、そ

        • 組織マネジメント原理主義者の末路 - 内田樹の研究室

          兵庫県の斎藤知事の失職に至る一連の出来事には現代日本の組織を特徴づける歪みが露呈していたように思われる。「組織マネジメント原理主義」と私が繰り返し呼んできたものである。 あらゆる組織は何らかの使命を託されており、それを実現するために存在する。けれども、組織が長く続くと、人々はその組織がそもそもいかなる「よきこと」をもたらすために、あるいはいかなる「悪しきこと」を防ぐために創建されたのか、その起源を忘れてしまう。 必ず忘れる。そして、いつの間にか組織の存続が自己目的化する。何のためにこの組織が存在しているのかを問うことを忘れて、「どういう組織であるべきか」についてばかり語り始める。 私が「組織マネジメント原理主義者」と呼ぶのはこの人たちのことである。彼らは社会の変化にそのつど最適化するためには組織は上意下達的に編制されていなければならないと信じ切っている。だから、あらゆる組織は最上位者の指示

          • 炎上しないブロガー - 内田樹の研究室

            ネットで発信するときは旧Twitterには「身辺雑記と愚痴」を、ブログにはある程度まとまった「演説」を書くことにしているのだが、どちらの媒体においても私は「炎上」ということを経験したことがない。 時々知り合いから「先日の内田さんの発言が炎上してますよ」というお知らせを頂くのだけれど、私は気づかない。ネットに書き込まれた読者の反応を読まないからである。これはネット上に投稿するようになってからずっと変わらない。 「私の考え方に賛成」という人がいるのを知るはうれしい。でもそれを通じて私の考えが変わることはない。「内田の考え方に反対」という人も(たくさん)いる。ただ、その批判の多くは私に不快感や屈辱感を与える目的で書かれており、私の書き物の質を上げたいからではない。そんなものを読むために時間を割くほど人生は長くない。 そう言うと驚かれる。「自分が他者からどう評価されているか興味がないんですか?」と

            • 自由の森学園創立40周年記念講演「教育と自由」 - 内田樹の研究室

              どうもこんにちは。ご紹介いただきました内田です。飯能というところ来るのは初めてです。先ほどご紹介いただいた通り、僕は神戸で「凱風館」という武道の道場と学塾をやっております。そこに9年前に入門された井手くんと岡野さんというご夫婦がいます。井手君は僕のIT秘書というのをやっていただいております。岡野さんはこの5月から書生として働いていただいています。凱風館には今書生が5人いるんですけども、その中で一番の新人です。そういうご縁のあるお二人がこの自由の森学園の卒業生ということで、このたび40周年の記念講演にお招きいただくことになりました。 自由の森学園創建40周年おめでとうございます。卒業生、在校生がこれだけ集まってくれるということは、それだけ母校に対する愛情が深いからだと思います。二人の門人も遠く神戸から今日ここまで来てくれました。卒業した学校のためにここまで献身的になるというのは、なかなかでき

              • 『無知の楽しさ』についての質問票 - 内田樹の研究室

                韓国の出版社企画で「無知の楽しさ」という本が出た。韓国の編集者や訳者の朴東燮からの質問に私が答えて一冊の本になったのである。それについてのメールでのロングインタビューがあったので収録。 内田先生、こんにちは 私は韓国で、作家、そして弁護士として働いているチョン・ウジンと申します。 このような形で、内田先生とお会いできる機会が得られて、ほんとうに嬉しく思います。 先日韓国で出版された『図書館には人がいないほうがいい』を読み、内田先生のまさに「大ファン」になり、先生のご本を何冊か家に積読していて(もちろん韓国語版ですが)、一冊ずつ読んでおります。 私はそれらの本の内容からいろいろ影響を受けているのですが、その中でももっとも印象に残っているのは「本というのは、およそ死ぬまでに読み切れなくても買って積んでおくものである」というところでした。そのおかげで最近本の購入量が本当に増えてしましました。(実

                • エスカレーターの片側を歩く人はブロックしていい…医師が「片側空けはマナーではなく因習」と断ずる理由 : トレンドの通り道

                  ■「目立つくらいなら不便に耐える方がまし」高齢患者さんを診察していると、老化や病気などに伴い足腰が弱まっている人も少なくない。そうした人にとって非常に厄介かつ危険ともいえる問題が、「エスカレーターの片側空け」だ。 「片側空け」とは、エスカレーターを歩行したい人のために、右側もしくは左側を歩行用通路として空けるもので、とくに駅構内で多くみられる現象だ。すっかり定着している正統派マナーであるかのようにも見えるが、じつは正統派どころか、今すぐ廃止されるべき「因習」であると断ずるほうが正しい。 その理由は輸送効率の低下だけではない。接触や転落事故といった危険をもたらすことはもちろん、杖をつく人や、立つ側によっては体を支えきることができない人にも大きな不便を強いるものだからだ。これらの観点から、もう何年も前から止めるべきとの指摘が再三なされていることをご存じの方もいるだろう。だが今なお、いっこうに改

                    エスカレーターの片側を歩く人はブロックしていい…医師が「片側空けはマナーではなく因習」と断ずる理由 : トレンドの通り道
                  • 民主政の成熟とは - 内田樹の研究室

                    選挙前に「政治への異議を白票で表現しよう」というキャンペーンが目についた。あえて白票を投じることで、「今の選挙制度では、私たちは自分が満腔の賛意を託すことのできる代表を選ぶことができない。私はいま立候補しているどの候補者に投票したい気分になれない。各党は私が投票したくなるような候補者を探してこい。話はそれからだ」という怒りの意思表示ができるというのである。 でも、現実には白票はただの「無効票」である。「現状に対して強い不満を持っている」という意思表示にはならない。「現状肯定」しか意味しない。 「白票を投じよう」と訴えている人たちは政権与党の「隠れ支持者」であるか、民主政における選挙というものの意味を理解していない人たちか、あるいはその両方である。 白票論者たちの勘違いは選挙を「自分の全幅の信頼を託せる人」に一票を投じることであるというふうにひどく浅く定義していることである。たしかに選挙公報

                    • 武道はスポーツか - 内田樹の研究室

                      朝日新聞の「耕論」という欄で「武道はスポーツか」というテーマで寄稿を求められた。パリ五輪で「武道家らしからぬふるまい」をしたアスリートがいたことが企画のきっかけらしい。 武道は修行であって勝敗を競うものではないということはずっと前から言っていることだけれど、改めて原稿を書いた。 合気道の開祖・植芝盛平は戦中、合気道の殺傷技術としての有効性を評価した陸軍幹部から合気道を軍隊で必修化したいという申し出を受けた時に、「それは日本人全員を鬼にするということである」と激怒したと伝えられています。 武術は殺傷技術ですが、私たちはそれを実際に用いるために稽古しているのではありません。極限状況に身を置いても透明な心と体を保つためにそのような状況が設定されているのです。 江戸時代の禅僧澤庵は兵法者は勝負を争わず、強弱に拘らず、敵との相対的優劣を競ってはならないと教えています。禅の修行において、どちらが早く「

                      • 裏金自民党・詐欺集団維新の会の断末魔。パラレルワールドに逃げ込む人々【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

                        裏金自民党・詐欺集団維新の会の断末魔。パラレルワールドに逃げ込む人々【適菜収】 【隔週連載】だから何度も言ったのに 第74回 「国の貧弱は必ずしも政体のいたすところにあらず。その罪、多くは国民の不徳にあり」と福沢諭吉は言った。バカがバカに投票するからバカな国になるのである。世の中には多種多様な言論がある。どのような主張をしようが自由だ。しかし、嘘をつく集団、デマを流す集団、犯罪組織は排除しなければならない。新刊『自民党の大罪』(祥伝社新書)で平成元年以降、30年以上かけて、自民党が腐っていった過程を描写した適菜収氏の「だから何度も言ったのに」第74回。 丸川珠代 ■萩生田光一の正体 総選挙が近づいてきた。テンパったあげく、嘘をついたり、大泣きしてみせたり、パラレルワールドに逃げ込む議員もいる。自民党幹事長の森山裕は、和歌山市内で開かれた衆院選候補者の演説会で、党派閥の政治資金パーティー裏金

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